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東電原発 汚染水漏えい原因 傾斜タンクに雨水過注入 天板接合部、防止措置なし 明白な「管理能力なし」 だが国は放置(福島民報)

2013-10-04 13:19:36

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fukushimatannku3-300x167東京電力福島第一原発の地上タンクで新たな汚染水漏れが見つかった問題で、東電は3日、傾いていたタンクに、雨水を入れ過ぎたことが漏えいの原因と発表した。タンク群の地盤にもともと傾斜があり、タンクの天板と側面の接合部の漏えい防止措置を取らずに使用していたため、端から漏れたとみられる。東電は傾きを「許容の範囲内」としているが、福島県は「ずさんな管理」と批判した。

外洋に流出
 東電によると、約430リットルの汚染水がタンク点検用の足場を伝い、タンク群を囲むせきの外に出たとみられる。タンク近くには外洋(原発港湾外)につながる排水溝があり、東電は「汚染水が海に流れた」としている。

 
 2日夜に採取した排水溝の水からはベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり1万5000ベクレル検出された。より海に近い地点では840ベクレルを検出し、前日に比べ約7倍上昇した。

 

 漏出したタンク群は「B南」と呼ばれ、外洋から約300メートル西側にある。一つのタンクは直径9メートル、高さ8メートルの円柱状で、容量は約450トン。東西方向に5基が並び、連結している。地盤が東側に向かい緩やかに下がっており、タンク群の両端の約55メートルの範囲で約50センチの高低差があった。漏えいしたタンクは最も東側で、排水溝から1~2メートルしか離れていなかった。

 
 地上タンクは通常、汚染水を容量の80~90%しか入れない。しかし、東電はタンクを囲う「せき」にたまった雨水を貯蔵するため、98%を目安に運用していた。水位計は最も高い位置にある西側タンクにしかないという。

 
 雨水の移送作業は作業員2人で行い、1人が水位計を確認していた。もう1人が最も低い東側タンクに雨水を移していたが、漏えいには気付かなかった。

 
 東電は、漏えいが2日午前8時40分ごろに始まったとみている。同日午後9時ごろ、足場をシートで覆うなどしてせき外への漏れを止めた。ただ、内側には流れ続けたため、タンク内の水1トンを移送。漏えいは3日午後3時半ごろ止まった。

 
 タンクには放射性セシウムや塩分を除去した汚染水が入っており、ストロンチウム90(法定放出基準は1リットル当たり30ベクレル)などベータ線を出す放射性物質が58万ベクレルの高濃度で含まれていた。

 
 東電は傾斜割合の許容範囲を自社基準で1%としており、今回のタンクは基準内だった。一方、県廃炉安全監視協議会専門委員で水文(すいもん)地質学が専門の柴崎直明福島大共生システム理工学類教授によると、一般的な建造物の傾斜許容範囲は0・1%程度だという。柴崎教授は「1%の基準は緩い。漏えいの危険性が高くなる。他のタンクの状況も調査し、危険なタンクは建て替えるべき」と指摘した。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2013100411293