HOME13 原発 |東電 雨水移送の手順省略、雨水を排出 第一原発の堰から 対策不足を露呈(福島民報) 緊急措置を理由 事前に台風対策の必要性把握しながらも |

東電 雨水移送の手順省略、雨水を排出 第一原発の堰から 対策不足を露呈(福島民報) 緊急措置を理由 事前に台風対策の必要性把握しながらも

2013-10-17 13:20:48

fukushimaimagesCAP44KH4
fukushimaimagesCAP44KH4東京電力は16日、台風26号に伴う大雨で、福島第一原発の地上タンク群に設けた漏水防止用のせきの雨水があふれる恐れがあるとして、原子力規制委員会が15日深夜に了承した放射性物質濃度の排出基準値を下回った水を排水したと発表した。しかし、正確な濃度測定のために雨水をタンクに移す手順を、緊急的措置を理由に省略するなど、大雨対策不足をあらためて露呈した。

 敷地内にあるタンク群9カ所でせきが満水になる可能性が高まり、せきの排水弁を開放したとしている。排水量は不明だが、水は地面に染み込んだほか、一部は排水溝などから海に流れ出たとみられる。

 
 規制委が15日に東電に対し了承した雨水の排出手順では、せきにたまった水を雨水貯蔵タンクなどに移し、放射性物質濃度を測定するよう求めていた。しかし、東電は約4千トンの保管能力がある雨水貯蔵タンクの貯水率が5割を超えたことなどから、一部のタンク群でせきから採取した水の濃度を測定し、雨水貯蔵タンクを経由する手順を省いた。

 
 東電は「雨が予想以上に激しく、ポンプでタンクまで移送する時間がなかったため、緊急措置としてやった」としている。
 一方、東電の対応について規制委は「(手順を省略することは)認められない。広いせきの一部から水を採取しても正確な測定はできない」との見解を示し、「台風が来ることは分かっていたはずで明らかに準備不足だ」と厳しく批判した。

 
 このほか、タンク群2カ所では、雨水を移送するポンプの動力が足りないとして、せきの雨水を緊急的に近くの地下貯水槽に移送した。
 地下貯水槽は4月に漏えいが相次ぎ、使用中止となっていた。移送先の地下貯水槽は未使用で漏えいが確認された地下貯水槽と異なり、東電は「緊急避難的措置だった」と説明。今後、空いている雨水貯蔵タンクに移すとしている。

 
 原子力規制委員会は15日深夜、せき内の水を排出するため東電が設定した排出基準を了承した。
 セシウム134が1リットル当たり15ベクレル、セシウム137が25ベクレル、ストロンチウム90が10ベクレルをそれぞれ下回り、さらにガンマ線を出す他の放射性物質が検出下限値未満などの場合、排出を認めた。承認前に規制委はトリチウムなど他の放射性物質の影響も考慮し、さらに厳しい排出基準を設定するべきと指摘。東電に排出基準の一部修正を求めていた。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2013101711531