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「福島、失われた故郷:汚染された土地への不可能な帰還」ルモンド紙(フランス猫)

2014-01-03 18:54:37

fukushimajosenfranceキャプチャ
fukushimajosenfranceキャプチャ【ルモンド12月20日】福島県のあちこちでおかしな「キノコ」が出現している。道のわき、畑の真ん中、学校の校庭にまで「キノコ」は広がる。この「キノコ」― 日本人が「大袋」と呼ぶ巨大な青や黒のビニール袋 ― には土や木の葉や木の枝や建物の残骸が詰められ、たいがい吹きさらしのまま戸外に置かれている。

「キノコ」とは、2011年3月に起きた原発事故によるセシウム134と137にさらされた全ての雑多な廃棄物を指している。「大袋」にはそれぞれ1トンの低・中度放射性廃棄物が詰め込まれ、およそ数百万、何千にものぼる大袋が県内にある仮の廃棄物置き場に置かれている。そしてこれら大量の放射性廃棄物は今日、自治体、近所の住民、そして家族の間にすら不和を引き起こし、人々の生活を深く引き裂いている。

「最初は皆、中間貯蔵庫を自分の住む町に作る話を聞きたがりませんでした。でもしばらくして、除染をやるには避けて通れない道だと理解したのです。」

伊達市の仁志田昇司市長は述べる。柿の名産地として全国に知られる伊達市は今季柿の出荷再開がかなったものの、その出荷量は原発事故の前の十分の一にとどまっている。

同市では2013年末までの除染完了を予定しているが、多くの汚染地域では除染は進んでいない。村民全員が退去した飯館村では、除染作業は始まったばかりだ。そして村を放射線量によって分断する3つのゾーンは東京電力からの補償額の差を生み出し、村内での格差と不幸を生み出している。地元関係者によると、福島原発に最も近い地域からの避難者には100万円が支払われるのに対し、少し離れた地域では8万円、それ以外の地域では全く補償がなされていない。

このような状況で、失われた土地を取り戻す作業は困難を極めている。福島第一原発近郊のレッド・ゾーン320平方キロメートルからは全く人の姿が消え去り、今後数十年間の間回復される見込みは立っていない。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「福島における汚染された土地への不可能な帰還」ルモンド紙/12月20日 (« A Fukushima, l’impossible retour en terre contaminée », Le Monde, 2013.12.20)

http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/12/20/a-fukushima-l-impossible-retour-en-terre-contaminee_4337955_3244.html

 

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