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「関連死」で17件和解 紛争解決センター 自主避難1件含む(福島民報)

2014-01-12 14:43:50

仮設住宅での仮住まいの長期化も原因
仮設住宅での仮住まいの長期化も原因
仮設住宅での仮住まいの長期化も原因


政府の原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介で、東京電力福島第一原発事故に伴う避難生活で死亡する、いわゆる「原発事故関連死」と判断され、東電が遺族に死亡慰謝料を支払ったケースが少なくとも17件に上ることが分かった。このうち、避難区域以外からの自主避難が1件含まれている。

ただ、センターは和解した詳しい理由などは公表しておらず、司法関係者からは、さらなる被災者救済の観点から透明性の確保を求める声が上がっている。

 

センターは、裁判よりも簡素な裁判外紛争解決手続き(ADR)を担い、原発事故の被災者と東電の間で賠償の和解を仲介している。昨年12月末までに和解した5090件のうち、651件の事例を公表しており、東電が死亡と原発事故の因果関係を認め、死亡慰謝料を支払ったのは17件あった。

 

事例の主な内容は【表】の通り。全て浜通りに住んでいた人で死亡時期は事故から1年以内。事故直後にいわき市から自主避難し、避難生活中の23年6月に体調を悪化させて死亡したケースについても東電は因果関係を認め、死亡慰謝料700万円を支払っている。センターの担当者は「公表していないケースも含めると毎月1~2件ペースで(原発事故関連死の)和解が成立している」としている。

 

関係者によると、東電に対し、死亡慰謝料の支払いを求めてセンターに申し立てる遺族は、故人が震災関連死として自治体から認定され、災害弔慰金の支給を受けているとみられる。

 

災害弔慰金は本来、地震や津波など自然災害による直接死または、避難生活など間接的な原因による震災関連死で亡くなった住民の遺族に250万~500万円が支払われる制度。原発事故後、事故に伴う避難生活による関連死にも適用されている。

 

ただ、避難生活の長期化に伴い、被災者の経済的な負担は大きく、現行の制度では不十分だとして、震災関連死の認定を受けた上で、センターに死亡慰謝料を求めて申し立てるケースがほとんどだという。

 

ただ、センターは、どのような経緯で亡くなったかや、原発事故関連死として和解が成立した理由などについて明らかにしていない。被災者の損害賠償に詳しい鈴木雅貴弁護士(福島市)は「被災者を救済する和解が生まれているのは歓迎するが、被災者にとってどのような場合は認められるのか参考となる情報が公開されていない。被災者と東電の間に入って和解案を提示する仲介委員の判断にも差があり、被災者が不公平感を抱く可能性もある」と指摘する。

 

原発事故関連死をめぐっては、東京地裁や福島地裁などで東電に対する損害賠償請求の訴訟が係争中だが、いずれも判決は出ていない。

http://www.minpo.jp/news/detail/2014011213224