HOME |Jパワーの大間原発建設 函館市民に不安の波 市が同社と国相手に差し止め訴訟準備(河北新報) |

Jパワーの大間原発建設 函館市民に不安の波 市が同社と国相手に差し止め訴訟準備(河北新報)

2014-01-27 17:40:20

建設が進む大間原発。津軽海峡を挟んだ対岸に函館の街並みが浮かぶ=2012年10月、青森県大間町
建設が進む大間原発。津軽海峡を挟んだ対岸に函館の街並みが浮かぶ=2012年10月、青森県大間町
建設が進む大間原発。津軽海峡を挟んだ対岸に函館の街並みが浮かぶ=2012年10月、青森県大間町


電源開発(Jパワー)が建設中の大間原発(青森県大間町)をめぐり、北海道函館市が同社と国に建設差し止めを求める訴訟提起に向け、準備を進めている。提訴に踏み切れば、自治体が国を相手に原発訴訟を起こす初のケースになる。工藤寿樹市長の決断を、市民の原発に対する不安感が後押しする。(むつ支局・加藤健太郎、青森総局・藤田和彦)

 

1月下旬、厳冬の函館市。観光地で知られる函館山に登ると、雪に覆われた市街地の向こうに、津軽海峡を挟んで青森県下北半島が見えた。約30キロ離れた大間原発の工事現場も、はっきり確認できた。

 
大半が「賛成」
 「原発は安全だと思っていたが、そうではなかった。大間で事故が起きたら、函館にも被害が及ぶ」。市役所近くで市内の女性会社員(40)は不安を率直に口にした。oomagenpatsu20140126028jd

 
 同市の職場に勤務する北海道北斗市の男性会社員(46)は「立地地域には交付金などのメリットがあるが、こちらはデメリットだけだ。事故のリスクだけを負っている」と厳しい表情で話した。

 
 福島第1原発の事故後、市民の間では大間原発への不安が一気に高まった。工藤市長が提訴方針を打ち出した2012年10月以降、市には電話を除きメールやファクス、投書などで431件(13年9月末現在)の意見が寄せられた。賛成する意見が402件、反対は11件だった。

 
 工藤市長は22日の定例記者会見で、訴訟費用の寄付を申し出る市民が多数いることを明かした。世論を後ろ盾に「原発は函館だけの問題ではない。全国から注目を集められるようにしたい」と決意を語った。

 
 既に差し止め訴訟を起こしている市民グループ「大間原発訴訟の会」(函館市)の事務局は「市は『自治体崩壊』という危険性を掲げる。裁判の相乗効果が期待できる」と話した。

 
 市内部には、補助金などの面で国との関係を懸念する向きもあった。裁判が長期化する可能性もあるが、原発問題を担当する三原克幸総務部参事は「市長の腹は固まっている」と強調した。

 
連携強化 必要
 大間原発の建設工事が進む大間町は、函館市の動きを静観する。両市町間にはフェリー航路があり、同町から函館に通勤、通院する住民も多い。15年度の北海道新幹線開業を控え、連携強化が期待されている。

 
 金沢満春町長は「こちらからあれこれ言う話ではない。(北海道新幹線開業後は)今まで以上に強い結び付きが必要だ。原発問題が尾を引くのは互いにすべきではなく、影響はない」と話した。

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2014/01/20140127t73013.htm