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電力各社第三四半期決算 円安・燃料費上昇で6社赤字 東電は業界最高益 料金“過剰値上げ”だった可能性(FGW)

2014-02-01 23:23:00

TEPCO119-01
TEPCO119-01電力各社の2013年4~12月期決算が出そろった。アベノミクスによる円安と、火力発電用燃料増加の影響で、電力10社中6社が経常赤字になった。対照的に、福島原発事故の費用負担を事実上、国が肩代わりしている東京電力は、電気料金値上げの効果もあり、10社中、最高益の1892億円となった。汚染者負担原則を棚上げにした国の東電への経営関与のいびつさが決算数字と表れている。

 

第三四半期の決算で、黒字となったのは、東電のほか、東北電力(94億8000万円)、北陸電力(131億1900万円)、沖縄電力()140億5600万円)の4社。それ以外の関西電力、九州電力など6社は、そろって赤字となった。

電力赤字の原因について、各社とも、原発再稼働が進まず、発電が石炭・天然ガスなどの火力発電にシフト、燃料費の上昇が起きていると説明している。燃料費が増加しているのはその通りだが、それ以上に影響が大きいのは、安倍政権誕生前後から起きた為替相場の円安転換。

 

アベノミクスの「第一の矢」である円安は、自動車などの輸出企業にとっては追い風となってきたが、電力など輸入産業にとっては、約3割のコストアップ要因となっており、各社の財務を直撃した格好だ。

 

その中で、東電は、2012年9月に家庭向け電気料金を平均8.46%引き上げたことで、円安と燃料費上昇の費用負担分を吸収し、大幅黒字に転換した。電気料金収入は前年同期比で、2200億円増加した。その分が丸ごと、経常利益増加につながった。東北電力も13年9月に8.94%(家庭向け)の値上げが実施している。

 

また経費削減についても、複数の発電所の修繕工事を先延ばしするなどの経理上の対応で上乗せした。これにより、本業のもうけを示す営業利益は2313億円となるなど、3年ぶりに黒字転換した。売上高も料金値上げで4兆8001億円と前年同期比で10.8%も増えた。

 

東電の見通しでは、2014年3月期も1340億円の営業利益を確保する見通しという。しかし東電は、新潟県の柏崎刈羽原発が再稼働しない場合は、燃料費上昇の影響によって、「再び赤字に転落し、福島第一原発事故の被災者への賠償資金が工面できなくなる」と主張、今年も秋に10%前後の値上げを想定しているという。


 

東電は福島事故以来、2年連続で赤字に転落しており、今期黒字転換できないと、民間金融機関からの融資が困難になる状況だった。このため、国は東電の経理対策としての大幅料金値上げを認めたことが改めて明らかになった。また東電は、福島原発の収束作業を含めて経費節減を進めたことから、現場では汚染水の再三にわたる漏えい、流出トラブルが続いている。

東電は、福島事故の賠償資金として、原子力損害賠償支援機構から1兆6657億円の交付を受けており、これらを特別利益に計上したため、純損益は7728億円の大幅な黒字となった。