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日本科学者会議が緊急提言 「政府・東電の汚染水対策は不十分」 汚染水大量漏洩のリスク(FGW)

2014-03-02 12:00:27

会見する柴崎代表(右)ら
 

会見する柴崎代表(右)ら
会見する柴崎代表(右)ら


日本科学者会議は、政府と東京電力が実施している現在の福島第一原発対策は、地質や地盤、地下水流動の各分野での実態把握や調査・解析が不十分で、今後も汚染水タンクからの放射性汚染水漏れや、汚染地下水が海や敷地外に流出する危険がある、と緊急警告を発した。

 

 

会議の提言によると、原発の敷地や周辺について、原発設置前からのボーリングや地盤データなどを公表するとともに、そうした調査を行っていない空白地域については、早急にボーリング調査を実施するなど、詳細なデータの把握を求めている。その上で、敷地内外全体の軟弱層分布図や段丘堆積物分布図などを早急に作成し、タンク敷地地盤の安全性を再確認するよう求めている。

 

つまり、現在、東電が大量に設置しているタンク群全体が、不安定、あるいは不確かな地盤データの上に、緊急に建てられており、今後、タンクの寿命だけでなく、地震、自然崩壊などのリスクが山積している、という認識だ。

 

また福島第一原発は、原発設置時に、建屋付近を地盤改変し、建屋付近は切土、建屋から海側は埋土となっているが、地震によって軟弱な埋土地盤が液状化などの変形をし、地下構造物にダメージを与えている可能性があると指摘した。そうした地盤データの調査と公開を求めている。

 

地下水の汚染状況を調べるため、現在、東電が実施している海側浅層の地下水観測孔の調査は原発の敷地内しか調べていないうえに、観測孔に偏りがある。このため、山側を含めた建屋周辺部でもボーリング調査をするともに、震度別の地下水観測孔を設けて、地下水位や地下水の水質についても「三次元的に」モニタリング・解析する体制をとるよう指摘している。

 

また観測孔については、帯水層などへの影響を知るため、深度300m付近の深層部の汚染度も調べる必要があるほか、地下水の汚染だけでなく、地下の構造物の配管等の腐食を調べる必要性もあげている。

 

科学者会議の提言は、原発汚染水問題プロジェクトチーム(代表、柴崎直明福島大学教授)がまとめた。提言の最後では、「これまで、東電は汚染水問題について、重大な問題が発覚してから応急的で不十分な対策しかとってこなかった。このままの状況では、今後も汚染水タンクからの漏洩や汚染された地下水が港湾外の海や敷地外の陸地に流出する危険がある」と指摘、国や東電の迅速な対応を強く求めている。

プロジェクトチームの柴崎直明代表(福島大教授)は福島県庁で記者会見し、「現状を放置すれば、今後も汚染水が海や敷地外に流出する危険がある」と警告した。

 

http://www.jsa.gr.jp/03statement/20140211b.pdf