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高レベル放射性廃棄物処分地の候補 東北の太平洋側に複数?(河北新報)

2014-04-21 14:52:31

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原発の高レベル放射性廃棄物を地中深くに埋める地層処分の技術的課題を検討する国の作業部会が評価案をまとめ、25日まで意見を公募している。具体的な処分地の候補は示していないが、火山活動の有無や地下深くに熱水の塊があるなど対象から外れる条件を読み解くと、おのずと適地が浮かび上がる。評価は候補地選びの根拠となり、東北地方では太平洋側の複数地域が候補地になる可能性もある。(東京支社・若林雅人)
総合資源エネルギー調査会の作業部会による評価案では、処分地に適さない「回避すべき範囲」として、(1)火山から約15キロの範囲(2)地殻内の温度(地温勾配)が高い地域(3)非火山性の熱水や地下深部に熱水の塊がある地域(4)活断層の周辺(5)過去・将来の10万年以内に隆起と浸食が300メートルを超える地域-を挙げた。

 

作業部会が議論の土台とした最終処分事業者「原子力発電環境整備機構(NUMO)」の補足資料には、適地の手掛かりになるデータや地名が明記されている。  図1は火山や地温に関するデータ。火山活動の有無の目安となり、本州東部の関東、東北、北海道にかけて走る火山フロント(前線)について言及し、「東北地方では火山活動がフロントの背弧域(日本海側)に限って繰り返し生じている」と記し、回避の必要性を指摘した。

 

東北の前弧域(太平洋側)に関しては「火山活動が200万年程度にわたり観測されていない」との見方を示した。

 

非火山性の熱水の分布は「常磐地域、能登半島、新潟平野、紀伊半島、有馬温泉などで報告されている」としている。

 

図2は隆起・浸食量の分布図。過去10万年で300メートル超の隆起があった場所として神奈川県の丹沢山地や三浦半島、千葉県の房総半島が付記されている。  評価案の文言とデータを重ねると、東北地方でも太平洋側を中心に複数地域が適地とされる可能性がある。

 

地層処分の候補地選定は自治体の応募が軸だったが進まず、政府は昨年12月、国が適地を選び複数の地域に立地調査を申し入れる方針を決めた。

 
◎慎重な検討必要 <作業部会委員の遠田晋次東北大災害科学国際研究所教授(地震地質学)の話>

東日本大震災で太平洋側は大きな地殻変動があり、断層活動や地下水流動に慎重な検討が必要だ。東北地方も文献調査段階で候補地となる可能性はあるが、その後の段階で多くの問題に直面すると考えられる。簡単には決まらないだろう。国は少数の狭い地域に絞るのではなく、まず「可能な地域」を幅広く示すのではないか。