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東電福島原発発生の廃棄物固形化施設候補地に浮上 福島・楢葉町住民、戸惑いと反発(河北新報)

2014-04-22 11:22:56

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fukushimahakura20140421026jc東京電力福島第1原発事故で出た指定廃棄物などの管理型最終処分場の配置計画見直し案をめぐり、環境省が焼却灰のセメント固形化施設などの建設を計画する福島県楢葉町波倉地区の住民に、戸惑いと反発が広がっている。

東日本大震災の津波で大きな被害を受け、2012年には除染廃棄物の中間貯蔵施設の候補地となり、今度は固形化施設が持ち上がった。住民は「国に翻弄(ほんろう)され、前に進めない」と訴える。

「国の都合で一方的に次から次へと提案が変わっていく。私たちは3年以上も路頭に迷い、心も体も痛んでいる。とてもついていけない」
環境省がいわき市で19日、波倉地区の住民を対象に開いた見直し案の説明会で、「津波で家も家族も失った」という男性は、そう言って声を詰まらせた。
波倉地区は津波で25世帯が被害を受け、8人が犠牲になった。町は原発事故で全町民が避難。12年8月10日に避難指示解除準備区域になった直後、環境省が中間貯蔵施設の候補地の一つとして、波倉地区を示した。
「中間貯蔵の候補地となったため、防災集団移転の計画づくりなどが進まなかった」と町は説明する。13年7月にボーリング調査が実施され、国が土地を買い上げる中間貯蔵施設に前向きな住民もいたが、町が受け入れを拒否したことで候補地から外れた。
代わりに浮かんだのが固形化施設だ。しかも、中間貯蔵施設の結末について国から説明がないままの新たな提案だった。
19日の説明会では、住民から環境省に対し「私たちを愚弄(ぐろう)するのか」「中間貯蔵施設の計画で津波からの復旧が止まった。失った時間を返してほしい」「なぜ津波被害に遭った場所なのか。私たちの境遇を自分の身に置き換えて考えてほしい」などと厳しい意見が相次いだ。
波倉地区は東電福島第2原発が立地し、住民は原発と隣り合わせで暮らしてきた。現在、地区内には除染廃棄物と、津波による廃棄物の仮置き場が設けられている。
行政区長の大和田正博さん(60)は「3年以上がたっても右に行っているのか、左に行っているのか分からず、何も解決していない。まずは波倉の復興の道筋を示してほしい」と話す。

[最終処分場の配置計画見直し案]
環境省は3月、除染廃棄物の中間貯蔵施設の候補地を福島県大熊、双葉、楢葉の3町から大熊、双葉2町に集約。同時に富岡町の管理型最終処分場の機能を一部分離し、候補地から外れた楢葉町に汚染焼却灰の固形化施設と、仮設焼却施設を設置する方針を決めた。固形化施設では、県内で発生した1キログラム当たり10万ベクレル以下の焼却灰をセメントで固め、富岡町の最終処分場に搬出する。


◎「5月下旬に帰町の判断」/楢葉町長、町政懇談会で考え示す

福島第1原発事故で全町避難し、大半が避難指示解除準備区域になっている福島県楢葉町は21日、帰町について町民の意見を聞く町政懇談会をいわき市で開いた。松本幸英町長はあいさつで「5月下旬に帰町の判断をする」との考えを示した。町は5月2日まで県内と東京都、茨城県で計13回、懇談会を開く。

 
21日の懇談会には約60人が参加。松本町長は帰町について「課題は山積しているが、町民の皆さんや議会の意見を丁寧に聞き、判断したい」と述べた。町民からは、放射線への不安や除染の効果を疑問視する相次いだ。「帰町や復興計画ありきではなく、まずは子どもたちが安心して帰れる環境をつくるべきだ」との意見もあった。

 
帰町判断をめぐっては、町議会も今月、独自に懇談会を実施。住民の意見を32項目にまとめ、松本町長に18日、要望書として提出した。

 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201404/20140422_61003.html