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東電福島第一原発 政府事故調は当初から調書の開示想定 しかし安部政権は非開示強調(各紙)

2014-05-24 08:44:04

故吉田昌郎氏
故吉田昌郎氏
故吉田昌郎氏


各紙の報道によると、東京電力福島第一原子力発電所の故吉田昌郎元所長が政府事故調査・検証委員会の聴取に答えた「吉田調書」について、調査委は「必要な範囲で開示する」と申し合わせていたことがわかった。吉田氏自身も開示を認める発言をしている。しかし、安部政権は非公開と説明しており、政府の判断根拠が問われる。

 

「吉田調書」は朝日新聞が報道した。政府事故調は吉田氏を含めた原発事故の関係者772人から聴取を行ったが、調査当初に「必要な範囲で開示する」としていたという。

 

吉田調書では、事故直後に吉田氏の命令に違反し、当時いた所員の約9割が現場を離れて、福島第二原発に撤退し、その間に、放射線漏れが拡大した懸念が示されている。しかし、菅義偉官房長官は報道以降、非開示を強調、ようやく23日になって「本人から(開示要求が)あれば、問題はなくなる」と条件付きの開示を認める考えを明らかにした。

 

しかし、政府事故調は当初から「原則非開示、しかし本人の了解の場合は開示」の方針だったという。「ヒアリングは原則として非公開かつ少人数で行う。相手方が公開を了承している場合は、適宜の方法(マスコミへの公開またはこれを前提とした録画等)で行う」、「供述者の特定につながる部分および供述者が非公開を希望している部分については開示しない。必要な範囲で開示する」というのが申し合わせ内容とされている。

 

ただ、同情報を事故調から引き継いだ内閣官房は、聴取者に「公開か非公開か」を確認しないまま、全部を非公開としてきた可能性がある。菅官房長官はこうした経緯を無視し、また吉田氏から「公表を望まない」との上申書が提出されていると説明、23日にはその上申書を公開した。しかし、吉田調書の中では吉田氏自身が公表について承認する発言をしているという。

 

事故当時の真実がどうだったかは、福島原発の処理だけではなく、全国の原発の安全対策立案、および周辺住民の原発への理解のためにも、非常に重要な情報といえる。にもかかわらず、政府は報道があるまで、そうした調書の存在すら公表せず、報道後も「非公開」を貫いてきた。

 

こうした政府の姿勢に対して、自民党内からも疑問視する声が出ている。自民党の原子力規制に関するプロジェクトチーム(PT)と環境部会は23日、吉田調書の閲覧を求めることを確認、座長の塩崎恭久政調会長代理は「二度と悲惨な事故が起きないようにするためにも、できる限り国民に還元すべきだ」と、調書の公開を求めている。