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安倍政権の影響下にあることを証明した原子力規制委員会。 滋賀県知事選挙は どちらの候補者も再稼働推進派(古賀ブログ)

2014-07-12 00:11:28

kogashigeakitwitter3_reasonably_small

kogashigeakitwitter3_reasonably_small九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の審査を進めている原子力規制委員会。安全のお墨付きとも言える審査書案を79日に公表する予定だと新聞各紙が報じていた。ほぼ既定路線と誰もが思っていたのに、直前になって、更なる精査が必要だとして、1週間先の16日発表に延期した。


 


その理由はだれでもわかる。13日に行われる滋賀県知事選挙への悪影響を恐れた安倍政権の規制委への圧力、あるいは、阿吽の呼吸での両者の調整ということだろう。


 


集団的自衛権の行使容認の閣議決定で大きく支持率を落とした安倍政権。滋賀県知事選挙にも影響したのか、自民党候補で元経産官僚の小鑓隆史(こやり・たかし)氏が、現在予想外の苦戦となっている。この小鑓氏は経産省出身なので、もちろん原発推進派だ。必死に原発を争点から外そうとしているが、九州でのことと言っても、選挙直前に原発再稼動というのは、わざわざそれを争点にするようなものだ。


 


現職の嘉田由紀子(かだ・ゆきこ)知事は、脱原発派で知られる。今回は出馬を断念して民主党の三日月大造(みかづき・たいぞう)前衆議院議員を推した。これによって、何となく三日月氏が脱原発派のように見える。原発再稼動に大きく歩を進める安全審査書を9日に発表すれば、脱原発派が勢いづき、明らかに小鑓氏が不利になる。


 


安倍自民党としては、ここは、規制委に発表を遅らせてもらいたいところだ。規制委の事務局である原子力規制庁は事実上経産省の支店だ。官邸はご存知のとおり今井政務秘書官、柳瀬事務秘書官を筆頭に経産省の官僚が支配している。


安倍政権の意向は常にリアルタイムで規制委の動きに反映される仕組みになっているのだ。


 


そこで、審査書案の発表を9日から滋賀県知事選挙終了後の16日に延期した。これが真相だろう。経産省や自民党の族議員は規制委に一日も早く再稼動を認めろと常に圧力をかけているが、もちろん、今回は延期に賛成だ。滋賀県で自民党の知事が誕生すれば、福井県にある多くの原発再稼動に賛成してもらえる。反対の急先鋒だった嘉田現知事の影響力が排除できることも大きい。


 


早くしろと言ったり、遅らせろと言ったり、本当にご都合主義の原子力ムラ。あきれるばかりである。





滋賀県知事選はどっちが勝っても脱原発派の勝利にはならない


 


 


滋賀県知事候補の三日月氏は本当の意味の脱原発派ではない。公約には卒原発と書いてあるが、よく読むと再稼動には賛成と読める。公約のパンフレットにある「出来るだけ早く原発から卒業し」という文言がその証拠。できるだけ早くだから、すぐに卒原発ではない。ということは、再稼動は認めるということになる。



「出来るだけ早く」というのは、出来なければそのまま動かし続けると読むのが霞ヶ関文学。出来なくても仕方ないという意味がある。「早く」と言っても年限が書いていないので、何も言ってないのと同じだ。


 


民主党の滋賀県連会長はバリバリの原発推進派の組合議員川端達夫元総務相。落選中だったが、三日月氏の辞職により繰上げ当選となった。三日月氏も過去には、原発擁護ととれる発言をしているし、今回、連合滋賀が三日月氏を推薦しているが、連合は原発推進だ。誰がどう考えても、三日月氏が脱原発派だというのは無理がある。対立がないと面白くないのでマスコミは三日月氏を脱原発派のように扱うが、これはフェアな報道とは言えない。


 


仮に三日月氏が当選した場合、大飯などの原発の再稼動に反対しない可能性が高い。そうなると、脱原発派が再稼動を認めたという最悪の事態になるかもしれない。選挙戦はあと一日になるが、滋賀県民、そしてマスコミは、三日月氏が再稼動反対なのかどうかを問い詰めて言質を取る努力をするべきだ。



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