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福島第一原発の事故処理で労働災害増加、重傷昨年度の2倍、けが人全体では3倍増。東電任せの現場管理体制が原因(FGW)

2015-01-20 11:41:10

fukushimaworker150120news6
fukushimaworker150120news6東京電力福島第一原発の廃炉作業現場での作業員の労働災害が増加している。19日には、増設中のタンクに元請け会社の社員が転落し、重傷を負った。今年度の事故は、昨年11月末までで死亡・重軽傷者数は9人で、前年度の倍に増えた。

原発事故を起こした東電に、事故後の修復の作業責任を任せっきりにし、東電の管理状況を誰もチェックしない体制が、作業員にしわ寄せとなる構図のようだ。


 19日の事故は、安藤ハザマの50歳代の社員が、完成したボルト締め型タンクの止水処理を点検する作業のため、高さ約10mの天板に上った。タンクの蓋(縦1m×横0.8m、重さ51kg)を開けて、タンク内に日の光を入れて、中での作業がしやすいようにするためだった。その際、誤ってタンク内に転落し、胸や腰、脚など多数の骨を折った。




 建設現場では、高所で作業するときは落下防止の命綱をつけるのが基本だが、社員は安全帯は着用していたものの、東電は「命綱をつけていたかどうかは不明」としている。事故時の管理状況を東電が把握していなかったようだ。


昨年3月には、初めて死亡事故も発生した。昨秋にはタンク上部から鋼材が落下し、三人が重軽傷を負うなど、重大事故が相次いでいる。労災事故は昨年度に比べて倍増のピッチで、特に重傷(休業日数14日以上)が6人と倍増している。昨年11月待つまででけが人総数は40人(熱中症を除く)を上回り、前年同期に比べて3倍以上増えている。


 




 福島労働局は16日に、東電を指導し、東電は元請け会社の担当者を集めて、安全総決起大会を開いた。だが、作業員に注意を呼びかけるばかりで、労災防ぐ管理体制が整っていないことから、決起大会直後に今回の事故が起きるなど、抜本対策が採られていないことを浮き彫りにした。




 東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「災害をたびたび起こして申し訳ない。どこに危険があるかしっかり確認して、安全意識を向上させたい」と、報道の取材に答えている。だが、事故後4年近くになっても、東電の責任者が「どこに危険があるか確認してから」という意識でいること自体が、事態を深刻さを示している。


特に今年度は、1-4号機建屋周辺の地盤を凍らせて地下水の流入を遮断する凍土遮水壁設置工事や原子炉建屋内のがれき撤去などの”本格的な作業”につながる一歩進んだ作業が増えたことが影響したとの見方もできる。ただ、それらの作業は、事故原子炉の解体処理という本格的作業のためのいわば準備作業。これから大作業が始まるのに、現場の安全対策が精神面の強化程度でしか捉えられていないことが、最大の課題といえる。