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東電福島第一原発 汚染水処理さらに遅れ、目標の5月に未処理4万トン(福島民報)頼みのALPSも対応しきれず

2015-03-17 11:56:54

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fukushimaosensui110705_3東京電力は16日、福島第一原発の地上タンクに保管している高濃度汚染水について、完了の目標としていた5月までに処理できず、さらに数カ月かかるとの見通しを示した。未処理となる汚染水は約4万トンに上る。

総量60万トンの7%に当たり、海水を多く含んでいるなどの理由で浄化が難しいという。一方、汚染水対策として建設している凍土遮水壁の凍結開始は、目標の今月中に間に合わず4月にずれ込む見通しとなった。

 

16日にJヴィレッジ(楢葉・広野町)で開かれた政府と東電による廃炉・汚染水対策現地調整会議で東電が報告した。

 

処理できないとした約4万トンのうち約2万トンは海水を多く含んでいる。原発事故発生直後に生じ、カルシウムやマグネシウムの含有量が多い。こうした成分が障害となり、多核種除去設備(ALPS)による処理に時間がかかる。

 

残りの約2万トンは各タンクの底にたまり、ポンプでくみ上げ切れない分だという。作業員の被ばく対策を講じた上で、タンクの解体時に順次処理する方針だ。

 

東電は当初、今年3月中に地上タンクの高濃度汚染水の処理を終える予定だったが、ALPSの稼働率が上がらずに断念した。昨年12月からは強い放射線を放つストロンチウムの除去装置を追加配備し、5月中の完了を目指していた。

 

今回の遅れにより、経済産業省が来年5月に完了する見通しを示したALPSでの全量処理もずれ込む可能性が出ている。

 

政府の廃炉・汚染水対策現地事務所の野田耕一所長は会議終了後、「残る汚染水処理をしっかりするように(国として東電に)伝えた」と述べた。
■福島県、完了時期明示求める

 

東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は16日、県庁で長谷川哲也県生活環境部長に汚染水処理の遅れについて説明した。

 

長谷川部長は「廃炉・汚染水対策の遅れが復興や避難者の帰還に影響する」と述べ、海水を多く含んだ汚染水などの処理の完了時期を今月中に示すよう求めた。

http://www.minpo.jp/news/detail/2015031721578