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東電福島第一原発 フレンジ型汚染水貯蔵タンク解体完了も、1~3号機の使用済核燃料プールからの燃料取り出しも、2020年の東京オリンピックとバッティング(FGW)

2015-06-11 01:20:31

fukushimatankkaitaiキャプチャ

東京電力は福島第一原発の汚染水貯留タンクのうち、漏えいリスクが高い「フランジ型」タンクの解体作業を先月から始めたが、現状ではタンクの解体に6年強かかり、東京オリンピック開催中にも、作業が続くことになる。1~3号機の使用済核燃料プールからの取り出しもオリンピックの年になりそうという。

 

 オリンピックに作業がかかりそうなのは、タンク解体だけではない。1~3号機の使用済核燃料プールからの保存燃料の取り出し作業も大幅に遅れる見通しで、1,2号機の取り出し作業は、オリンピックの開催年の2020年からになる見通しという。東京オリンピックは「福島原発廃炉」作業を見据えた大会になりそうだ。

フランジ型タンクは、板状の鋼材をボルトでつなぎ合わせれば約一週間でタンクとして使える簡易な仕組み。比較的早く建設できるとして、汚染水の緊急の保管先として導入された。しかし、接ぎ目のない溶接型とは異なり、接ぎ目などから汚染水の漏えいが再三発生した。

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 たとえば、2013年8月には1基のタンクから約300㌧の高濃度汚染水が漏洩する事件が起きている。その後、導入されたタンクは接ぎ目のない溶接型に切り替えられているが、旧来のフランジ型は今も全部で372基ある。いずれも耐用年数約5年のギリギリの段階に来ている。

 

 東電は、これらのフランジ型タンクを順次解体し溶接型のタンクに置き換える計画だ。しかし、先月から始まった解体作業対象の40基を処理するだけでも8カ月かかる。単純に計算する372基を処分するのに6年強の時間が必要だ。

 

 東京オリンピック前に作業を完了させるには、解体作業のピッチをあげる必要があるが、作業は放射性物質の飛散を防ぎながら進めなければならない。解体手順は、ポンプで汚染水の大部分を抜き取った後、タンクの内部の飛散物を集じん機で吸い込みながら洗浄する。

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 洗浄を終えると、タンクの底部に残った汚染水を回収して処理設備へ移送する。その後、内部に放射性物質の飛散を抑える塗料を塗って、最後に天板、側板、底板の順で解体する。こうした作業は、1基当たりで9日はかかるという。

 

 タンク内部、保管していた水はいずれも放射性物質で汚染されており、単に人海戦術だけでは、処理日数を短縮できない事情がある。さらに難問はその後にも待ち受けている。

 

 解体されたタンクは放射性廃棄物であるため、コンテナに長期保管することになる。今回の最初の40基の解体で約 8000㌧の放射性廃棄がれきが発生する。このため保管に必要なコンテナ(20fts)は、約430個。370基全部を処理・再保管するには、コンテナは4000個必要という。福島原発の”名物”の汚染水貯留タンクの数は、多少減っても、今度はコンテナが大量に設置されることになる。

 

 1~3号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出し作業の遅れについては、政府と東京電力が近く、廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)を改定する中に盛り込む。核燃料取り出しが従来の計画より2~3年程度遅れる。

 

 このうち、本年度前半としていた3号機プールからの取り出し開始が17年度となり、現行では17年度前半としている1号機と、17年度後半としていた2号機は、いずれも2020年度に変更する。廃炉完了まで30~40年とする枠組みは維持する。

 

 政府は12日にも関係閣僚会議を開き、工程表を改定する。工程表は11年12月に策定され、改定は13年6月以来2年ぶり。

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/97111.pdf