データ虚偽記載の中国電力島根原発 島根県と松江市が立ち入り調査。欠如する「報告する文化」(各紙)
2015-08-06 18:32:14
各紙の報道によると、中国電力の島根原発(松江市)で、6月に発覚した低レベル放射性廃棄物のモルタル充塡(じゅうてん)に使う水流量計の点検記録の偽造問題で、島根県と松江市は6日、同原発を立ち入り調査した。
原子力規制庁は前日の5日に、中国電力の対応について、保安規定違反の「監視」に該当するとして原子力規制委員会に報告、了承された。県と市の立ち入り調査は沿うれを受けたもの。
原発から排出する配管や保温材など低レベル放射性廃棄物は、水やセメントを混ぜて作ったモルタルでドラム缶の中に固定したうえで、青森県六ケ所村の日本原燃の保管施設に搬出する手順となっている。この際、セメントに混ぜる水量を調整する計測器は半年に1回、別会社に送って、正常に作動しているかどうかかを確認する必要がある。
ところが、中国電力の担当社員は、2013年2月~14年10月にかけて、確認が必要な6件中4件で点検の委託を忘れ、以前に点検した際の記録をコピーして虚偽の記録を作っていたという。今年6月中旬、日本原燃が搬出前監査で、中国電力に対し記録原本の提示を求めたところ原本がないことが分かり、虚偽記載が発覚した。
廃棄物に混ぜる水量が正常でないと、ドラム缶の中で崩れたり、缶が破損したりする恐れがあるという。そうなれば放射性廃棄物が外に漏れ出す可能性もあり、重大な事態につながりかねない。ただ、原子力規制長は中国電力の業務管理の履行が不十分だったことを認めながら、保安規定に基づく保全計画の対象外だったことなどを考慮して、4段階の違反区分でももっとも軽微な「監視」処分にとどめている。
この日の立ち入り調査には、県職員ら計18人が参加した。島根原発の北野立夫所長は調査に当たる県職員らに対し「第三者による客観的調査態勢を構築し、調査、検証を進めている。これからもしっかりと対応していく」と述べた。
同原発では、2010年にも点検漏れのケースが判明しており、中国電力の社内において「報告する文化」が不足、定着していないとされる。この点を調査で県から指摘されると、中国電側は「検証が確定してから後日報告したい」と述べた。