福島・浪江町の馬場有町長、川内原発再稼働を厳しく批判。「避難の議論不十分」「福島の教訓生かさず」。しかも福島事故の"月命日"の再稼働決定で、避難者の神経逆なで(各紙)
2015-08-11 23:07:13
各紙の報道によると、鹿児島県の川内原発1号機の再稼働について、東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く福島県浪江町の馬場有町長は11日、「避難の在り方など議論が不十分。福島の教訓が生かされておらず、残念だ」と遺憾の意を表明した。
馬場町長は、浪江町役場が今も避難する福島県二本松市で、報道陣の取材に応じた。町長は「福島の事故を教訓にしておらず、非常に残念だ。原発事故では想定以上のことが起きるのに、再稼働するのはどうかと思う。稼働する原発がゼロでも電力はまかなえていたのだから、動かす必要はない」と語った。
さらに町長は、「私たちは着の身着のままで避難したが、これだけ長期間、しかも全国に避難するようなことがあってはならない。川内原発で万が一のことが起きた際に、速やかに大規模な避難ができるのか疑問だし、避難のための道路が整備されているのかという問題もある」 「こうしたことを踏まえないまま再稼働して、万が一、福島のような事象が起きたら目も当てられない」などと述べた。
馬場町長が唇を噛んだのは、川内原発再稼働が、震災と原発事故から4年5か月の月命日と重なったこと。「悲しい出来事だ。月命日に再稼働するのは悔しい」と話した。おそらく、安倍首相も、政府の役人も、九州電力の経営者たちも、「月命日」だったことも忘れているようだ。しかし、被害を受け、今も避難を続けている人たちは、決して忘れられない。
日本人の感性を失った政治と、経済合理性を無視した経営の安易な選択は、いずれ強烈なしっぺ返しを受けるに違いない。
浪江町は第1原発が立地する双葉町に隣接。事故当時、政府から情報が十分に伝えられず、山側の高線量地域に避難した住民の多くが無用に被ばくした。いわば、政府の無策によって被ばくした形だ。
馬場町長は「事故があれば、影響は周辺自治体にも及ぶ。避難者の受け入れについて自治体間で協定を結ぶなど、われわれの経験を踏まえた議論がされたのか」と疑問を呈した。