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気候テク企業「ブーストテクノロジー」、グローバル企業の海外サプライチェーン等の「Scope3」のCO2排出量を算定・管理するサービス開始。Scope3開示の原則共通化に対応(RIEF)

2023-02-08 14:33:01

Boostキャプチャ

 

 気候変動対応の技術面のサービスを手掛ける気候テク企業の「ブーストテクノロジーズ(booost technologies)」(東京)は8日、企業が抱える海外のサプライチェーン等での温室効果ガス(GHG)排出量を測定・管理できるサービスを開始したと発表した。同社が設定するカーボンマネジメントのプラットフォームを国際的なGHG関連のデータベースと連携させ、脱炭素化の課題とされる「Scope3」排出量をグローバルベースで把握できる。

 

 同社はネットゼロに向けて、脱炭素取り組みに積極的なグローバル企業等向けに、カーボンマネジメントプラットフォーム「ENERGY X GREEN」を提供している。今回、同サービスで、海外排出原単位データベースの「ecoinvent Datebase」の利用が可能にすることで、海外の排出量データ把握の網羅性、汎用性等を確保したうえで、海外の言語対応を大幅に拡大することでグローバル企業のニーズに対応できるとしている。

 

 現在、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が進めるサステナビリティ・気候情報開示基準づくりでは、企業のGHG開示対象を自社のScope1~2だけでなく、取引先のサプライチェーンの排出量(Scope3)も開示することが原則として要求される。ただ、多様に展開する海外での取引先の排出量の測定自体が容易ではない場合も少なくないとされる。

 

 現状では、国ごとに使用可能な排出原単位が限られていたり、各国の係数(原単位)がそろわないケースが少なくない。その結果、測定した排出原単位データに汎用性がなかったり、網羅的な算定ができない場合もある。また、現行のソフト等では使用言語が限られている等の課題も指摘されている。

 

 ブーストテク社の新サービスの場合、新たなデータベース活用にによって、海外サプライチェーンの課題となる排出量データの網羅性、汎用性、信頼性を高めることができる。また使用言語については、世界7地域、235の国や地域ごとの排出量管理が可能な25言語対応とすることで、グローバル・サプライチェーンを展開しているほとんどの企業のニーズに対応できるとしている。

 

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の2021年度調査によると、海外展開する日本企業の脱炭素化取り組みは、国内では半数の51.5%が「すでに取り組んでいる」としているが、海外拠点については「23.1%」と半分以下にとどまっている。現地拠点での排出量削減や再エネ利用の数値的な目標の設定等については「81.0%)の企業が「なし」としている。