HOME10.電力・エネルギー |東京証券取引所。カーボンクレジットの排出量取引の常設取引、10月めどに開設。SBIグループの市場参入で「取引所競争」が現実化へ(RIEF) |

東京証券取引所。カーボンクレジットの排出量取引の常設取引、10月めどに開設。SBIグループの市場参入で「取引所競争」が現実化へ(RIEF)

2023-06-10 00:32:06

d4dbdc9395a617a1443bea8719c411d9

 

 東京証券取引所は9日、昨年に実証実験を実施した排出量取引制度を踏まえて、10月をメドに常設の取引所を開設すると発表した。国内ではSBIホールディングスと環境スタートアップ企業のアスエネ(東京)によるカーボンクレジット・排出権取引市場の開設が公表されたことで、東証も実際の取引を急ぐ形になったようだ。両取引所とも、取引対象のクレジットは、国内の森林整備や再エネ・省エネ等によるJ-クレジットを軸にする方針で、J-クレジットの供給確保が課題となりそうだ。

 

 (写真は、東証が昨年9月に実施を始めた試行取引の模様)

 

 東証は昨年9月から今年1月まで、経済産業省の委託で排出量取引の試行取引を実施した。その成果を踏まえて、今回、10月からの本格的な常設市場に移行させるとしている。そのため、7月をめどに、「カーボン・クレジット市場参加者」の登録申込みの受付けを始める。それらの参加者を対象にして、システム接続テスト等を経て、市場の開設につなげるとしている。https://rief-jp.org/ct4/128587?ctid=

 

 今年2月に閣議決定された政府の「GX実現に向けた基本方針」では、カーボンプライシングの制度設計として「排出量取引制度」の導入を示している。2023年度からの試行取引、2026年度からの本格稼働としていたが、SBIグループの参入で、東証を含め、取引の本格化が前倒しになった形だ。GX方針では、取引所についての規制はなく、現状では、誰でも参入が可能という。https://rief-jp.org/ct4/136236

 

 ただ、取引所といっても、株式市場のように、株価が常時、市場に示され、投資家が株価を見て売買するような取引には、当面はならない。東証がクレジットの売り手と買い手の間に入って資金決済を担う仕組みをとる。SBIグループの場合も同様になる見通し。東証では、クレジット購入注文の受付時間は午前と午後の2回に分け、午前11時30分と午後3時に価格がつくようにする。

 

 取引市場への参加企業数を促すため、市場利用料は当面は無料とする。現在のところ、参加企業数については、電力や商社、サービス業などを中心に55社程度の取引参加を見込んでいるという。取引所開設後、企業のクレジット需要が高まることで、その後、200社程度にまで増えるとみている。年間の排出量の売買額は当面、10億円程度を見込んでいるとしている。

 

 SBIグループの場合も、インターネット上に専用サイトを設け、同社が売り手と買い手の取引の間に入り、資金決済を担当する東証と同じ仕組みをとる。取引手数料を当面無料とする東証の方針に対して、SBI側がどう対応するかは不明だ。SBIの新会社は、取引所開設から5年後に年間1000億円の取扱高を目指すとしている。

https://www.jpx.co.jp/news/2040/20230609-01.html