HOME10.電力・エネルギー |住友商事、豪州の資源大手リオティントのアルミナ精製工場で、天然ガスに代え「グリーン水素」を燃焼に採用。年間水素製造250㌧。将来は海外輸出の大型水素サプライチェーン構築へ(RIEF) |

住友商事、豪州の資源大手リオティントのアルミナ精製工場で、天然ガスに代え「グリーン水素」を燃焼に採用。年間水素製造250㌧。将来は海外輸出の大型水素サプライチェーン構築へ(RIEF)

2023-07-13 00:20:46

sumishouriotnto

 

  住友商事は12日、英豪資源大手のリオティントと共同でオーストラリアにおいて、アルミナ精錬工程に天然ガスの代わりに水素を活用する実証事業を始めると発表した。アルミナ精錬工程に水素を利用するのは世界で初としている。アルミナ精錬は電力多消費事業として知られるが、CO2フリーの水素利用に切り替えることで、同工程の脱炭素化を加速させる。事業総額は約1億100万豪㌦(約100億円)。2025年から年間最大300㌧を製造・供給し、さらに対象工場だけでなく、地域全体にも供給し、将来は他国への輸出も目指すとしている。

 

写真は、アルミナ精錬工程の水素使用による脱炭素化実証事業を行うオーストラリアのリオティントのヤーワン・アルミナ精製工場)

 

 リオテントとの合意によると、同社が豪州クイーンズランド州グラッドストン地区に設立するヤーワン・アルミナ精製工場内に、住友商事が太陽光等を使ったグリーン水素プラント(水素製造能力2.5MW)を設立する。同プラントから年間約250㌧の水素を同工場のアルミナ精製工程のバーナーに供給する。水素250㌧供給量は、水素燃料電池車2500台の1年間の使用量に相当する。

 

 グリーン水素製造事業となるため、事業総額は約1億100万豪㌦のうち、約3割相当の3200万豪㌦の補助金を豪州政府の再エネ機関(ARENA)から受ける予定としている。

 

 リオテントのヤーワン工場は、これまでの天然ガスによる燃焼から、CO2フリーの水素に切り替えることでCO2排出量をゼロにできる。水素製造プラントではCO2排出が生じるが、その分については市場からカーボンクレジットを購入して、水素製造でのCO2排出量も実質ゼロにするとしている。

 

 また2030年ごろまでには、同工場だけでなく、工場が立地するグラッドストン地域全体に「地産地消型」の水素エネルギーを供給することで、地域全体の脱炭素化を促進するとともに、水素製造事業のスケールアップを図り、コスト削減にもつなげるとしている。さらに、将来は、水素製造能力を2000倍の50万㌧に引き上げて、同地区から他国へ水素を輸出する水素大型サプライチェーンの構築も目指すとしている。

 

 リオティントのアルミニウム・パシフィック・オペレーションズ 、マネージング・ディレクターのアルマンド・トレス氏は「このパイロットプラントは、アルミナ精製で、天然ガスの代替として水素が使用できることを実証する重要なステップ。リオティントは、エネルギー転換を事業戦略の中核に据えており、本件は当社の事業の脱炭素化に向けた取り組みの一つ」と位置付けている。

 

 住友商事のエネルギーイノベーション・イニシアチブ サブリーダーの北島誠二氏は「2050年までにグループ事業活動のカーボンニュートラル化達成に向け、意欲的なパートナーとともに産業界における水素利活用を実証することは、炭素排出量を削減するために不可欠。住友商事は、本事業を足掛かりとして、リオティントの脱炭素に貢献すべく商用化事業への拡大を目指す」と述べている。

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2023/group/16870