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総務省、自治体の「グリーン共同債」第一号を11月発行。年約1000億円。対象事業の少ない自治体も参加可。国は「リスクの大きい」移行国債、地方は「安定した」共同グリーン債へ(RIEF)

2023-08-31 18:51:28

soumushouキャプチャ

 

 総務省は31日、全国の地方自治体による初の共同発行のグリーンボンド(グリーン共同債)を11月に発行すると発表した。今年度の発行額は約1000億円を予定する。自治体のグリーンボンド発行はすでに東京、大阪、愛知等の都道府県や市町村レベルでも相次いでいる。投資家の需要に対応するには、一定の発行規模にする必要があるが、自治体によっては対象となるグリーン事業の確保が容易ではないところも少なくない。そこで、共同発行とすることで、発行規模を確保し、投資家のニーズに対応すると同時に、発行する自治体のグリーン事業への取り組みを促すことを目指す。

 

 地方財政法で認められている共同発行市場公募地方債の仕組みに基づき、調達資金の使途先を環境・気候関連の事業に充当することを目的として発行する。参加する自治体は、発行総額から自団体の調達額を控除した額と利子相当額について債務負担行為を設定し、連帯債務として発行する。

 

 発行額は年1000億円程度とし、年2回の発行を予定する。ボンドの発行期間は10年。第一回は11月の予定。参加自治体は、都道府県が28道府県、市町村が14自治体で合計42自治体。独自のグリーンボンドをすでに発行している東京都等は参加しない。

 

 発行に際して作成したグリーンボンドフレームワークについては、日本でESGボンドの評価業務を行っている格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)の2社が、国際資本市場協会(ICMA)が定めるグリーンボンド原則(GBP)に準拠するとのセカンドオピニオンを取得している。主幹事は野村證券、みずほ証券、大和証券の3社。野村が事務取扱も行う。

 

 フレームワークでは、資金使途先として、①再生可能エネルギー事業(9項目)②省エネ事業(7項目)③汚染の防止と管理に関する事業(11項目)④自然資源・土地利用の持続可能な管理に関する事業(13項目)⑤生物多様性保全に関する事業(6項目)⑥クリーンな運輸に関する事業(9項目)⑦持続可能な水資源管理に関する事業(3項目)⑧気候変動に対する適応に関する事業(28項目)⑨グリーンビルディングに関する事業(1項目)、を列記している。

 

 参加自治体は次の通り。<都道府県>北海道、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、新潟県、富山県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、<市町村>札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、川崎市、新潟市、静岡市、浜松市、京都市、堺市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市

 

 個別企業や自治体によるグリーンボンドの発行では、各発行体が、調達資金の使途先の個別事業についてフレームワークに定めることになる。グリーン共同債の場合、個別事業は自治体ごとに異なることから、フレームワークとしては定めない。その代わりに、使途先とする事業類型等を定めた共通のフレームワークを策定し、個別具体の事業については、別途外部評価を得る手順とする。

 

 対象となる各自治体のプロジェクトや、想定されるネガティブな影響への対策等については、総務省がグリーン共同債に参加する各自治体(グリーン共同発行団体)に示す。一方、各自治体の財政担当部局及びプロジェクト関係部局(環境、土木担当部局等)は、連携してボンドの資金使途先候補となるプロジェクトを選定する。

 

 総務省と地方債協会は、候補となるプロジェクトが環境改善効果をもたらす可能性があるかどうかを確認した後、同プロジェクトの環境改善効果について、毎回のグリーン共同債に際して、外部機関からの適合評価を得ることとする。

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei05_02000220.html

https://www.soumu.go.jp/main_content/000898579.pdf

https://www.soumu.go.jp/main_content/000898580.pdf