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JFEホールディングス。海外市場で公募増資とユーロ円建て転換社債。合計2100億円。EV用鋼板や電炉新設等の「脱炭素資金調達」だが、「グリーン」「トランジション」のラベル無し(RIEF)

2023-09-05 18:32:34

JFEキャプチャ

写真は、JFEがキャンペーンする「鉄こそが『サス鉄ナブル』」とアピールするCM=(でも資金調達では『グリーン』の名は使わない?))

 

  JFEホールディングスは5日、海外投資家向けの公募増資(1215億円)とユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債=CB:900億円)の発行で、合計約2100億円分の資金を調達すると発表した。調達資金は、温室効果ガス(GHG)排出量が高炉よりも少ない電炉の新設や、電気自動車(EV)に使う電磁鋼板製造等に充当するとしている。資金使途をグリーンおよびカーボンニュートラル分野と定めながら、グリーンボンドやトランジションファイナンス等のラベルを付けないのは、国内投資家とは異なり、海外投資家の場合、「グリーン性」等への評価が厳しいためなのだろうか。

 

 同社は昨年6月、国内鉄鋼メーカーで初めてトランジションボンドを5年物、10年物合計300億円分を発行している。同ボンドの資金使途も、高炉のAI・IoT化等に加えて、EV用の電磁鋼板の製造や電炉での高級鋼製造の研究開発資金等と、今回と同様の使途を公表していた。https://www.jfe-holdings.co.jp/release/2022/01/220120.html

 

 今回の資金調達については、新株式の発行と自己株処分による調達資金約1215億円のうち、約490億円は、JFEスチールの西日本製鉄所(倉敷)で製造している無方向性電磁鋼板の生産能力増強の第Ⅰ期工事(2024年9月末まで)に充当し、約460億円は同第Ⅱ期工事に、約150億円はインドのJSWスチールとの合弁企業での方向性電磁鋼板の製造、販売事業への投融資に、それぞれ充当するとしている。いずれもEV投資用とみられる。

 

 ユーロ円債は5年物で、新株予約権付社債での資金資金約900億円のうち、約150億円は、2026年3月末までに千葉地区でのステンレス用電炉の新規導入投資に、約750億円は、2028年3月末までにその他のカーボンニュートラル関連投資等に充当するとしている。

 

 同社は「今回の海外募集により、成長戦略としてのGX戦略を支える財務基盤の構築及び財務の柔軟性を確保し、持続的な利益成長を確実にすることができると考えている」と強調している。

 

 資金調達の取り扱いは、増資では、J.P. Morgan Securities plc、Nomura International plc、Goldman Sachs International、Mizuho International plcの4金融機関が共同ブックランナー兼共同主幹事会社を務める。ユーロ円転換社債については、J.P. Morgan、Goldman Sachs、Nomuraの3金融機関が引き受け、欧州およびアジアの投資家を中心に販売する。

https://www.jfe-holdings.co.jp/release/2023/09/230905.pdf