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三井不動産。1000億円のグリーンボンド発行、累計ESG債発行額は7000億円超。18年前竣工の「中古ビル」も「グリーン対象」に。外苑再開発事業には充当せず(RIEF)

2023-09-14 15:15:51

mitsuifudousanキャプチャ

  三井不動産は、東京での超高層ビル建設資金に充当するため、総額1000億円のグリーンボンドを発行した。同社がグリーンボンドを発行したのは5回目。今回で発行総額は7000億円を超えた。資金使途先は、東京・日本橋で完成済みの高層ビル2棟のリファイナンスに充当する。内外で反対の声があがる神宮外苑の再開発資金は対象になっていない。同社はグループ・ステートメントとして「都市に豊かさと潤いを」のテーマを掲げるが、外苑再開発の資金調達をグリーンファイナンスでまかなう方針を市場に示せるかどうかが関心となっている。

 (写真は、日本橋室町三井タワー㊧と日本橋三井タワー㊨)

 今回発行したグリーンボンドは、発行期間が10年、15年、20年の3本。それぞれの発行額は500億円、100億円、400億円となっている。利率は1.057%、1.578%、1.831%。資金使途先は、東京・日本橋ですでに完成済みの「日本橋室町三井タワー」(地上26階、地下3階)と「日本橋三井タワー」(地上39階、地下4階)の建設リファイナンス資金に充当する。

 同社によると、両ビルとも、国内基準の「DBJ Green Building認証」で「5つ星」を取得しており、グリーンビルディングの適格性を満たすとしている。ただ、「室町三井タワー」は2019年の竣工なので4年前の完成だが、「三井タワー」は2005年竣工で18年前の「中古物件」。リファイナンス充当とはいえ、グリーンボンド等のESG投資を重視する投資家にとっては、魅力的かどうかという課題がありそうだ。

 しかし、両物件とも国内認証では最上位の「5つ星」であり、 その根拠として、ともに「グリーン電力提供サービス」を導入している点をあげている。ビルで使用する電力について再エネ電力の供給体制を整備したことが「グリーン性」を高めたということのようだ。ただ、完成後、これまでの18年間において、電力の転換以外に、わが国の高層ビル建物の構造や空調、あるいはサプライチェーン等でのCO2削減能力の向上や、緑化等での進展はあまりなかったということにもなる。

 主幹事は、最も発行額が多い10年債が、野村證券、SMBC日興証券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、岡三証券、東海東京証券、BofA証券の8金融機関。残りの15年債、20年債が、野村證券、SMBC日興証券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社となっている。

 三井不動産は今年6月にも、都内の開発物件の3件を資金使途とするグリーンボンドを1300億円分発行している。

https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2023/0906/