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日産自動車、欧州市場で販売する新型車を2030年までにすべてEV化宣言。現状はEV車しか販売していないので、実質は「今からすべてEV」。蓄電池改革でコストダウン進める(RIEF)

2023-09-26 22:48:02

Nissanキャプチャ

 

 日産自動車は25日、英国・ロンドンで、子会社である欧州日産自動車が販売する新型車を「2030年までに、欧州に投入する日産の新型車はすべて電気自動車(EV)にする。今から実施する」(内田誠CEO兼社長)と発表した。 EUや英国は、2035年以降販売する新型車からガソリン等で走る内燃機関車を除外する方向だが、EUが例外として「e燃料」で走る内燃機関車を認めることをめぐり、各自動車メーカーの対応が注目されている。日産は、「e燃料」車よりも、EV集中を先行して宣言した形だ。

 

  日産は、英国の欧州日産を拠点として、自動車のデザイン、設計、生産の機能を備えている。「今からEV」を宣言したのは、電動化とクロスオーバーという日産ブランドのコアとなる特性を活かしたEVへの転換を推進することで、カーボンニュートラルを消費者にアピールする形だ。

 

 日産が世界市場で販売してきたEVの3分の1は欧州市場で売られている。車種は、AriyaとバンのTownstar等。クロスオーバーSUV「キャシュカイ」や「X-Trail」の電動システムを含めると、すでに2022年から同社が欧州市場で販売している新型車は100%EV化されているともいえる。 内田社長が「今からEV」と宣言したのはその意味のようだ。

 

 同時に、スポーティで都会的なEVコンセプト「コンセプト20-23」を発表した。また2028年度までに、EVバッテリーのコストダウンを図るため、リチウムイオン・バッテリーにコバルトを使用しない技術を導入するほか、独自の全固体電池も導入する方針を明らかにした。

 

 コバルトはアフリカのコンゴ共和国が主要な産出国のレアメタル。「コンフリクトミネラル(紛争鉱物)」であると同時に、資源量が限られていることから、コバルトフリーにすることでバッテリーコストを65%まで削減できるとしている。

 

 また全固体電池の採用により、電力のチャージ時間が現状よりも3分の1に短縮できる。日産では、同電池の採用によって、バッテリーコストを2028年度までに、kWh当たり75㌦に削減できるとしたうえで、さらにEVとガソリン車のコストが同等となる65kWhにまで引き下げることを目指すとしている。

 

 「全EV化」を推進するため、英国にある日産デザイン・ヨーロッパ(NDE)と、日産テクニカルセンター・ヨーロッパ(NTCE)に合わせて4000万ユーロ以上の投資を行う。NDEでは、建築設備、デザイン ツール、リソースをアップグレードするほか、スタッフを増員する。NTCEでは、電動化プロジェクトに2600万ユーロ以上を投資し、新テクノロジーと設備を導入するとしている。

 

 記者発表した内田氏は「EVは最終的な自動車のソリューションだ。100万人以上の我々の顧客が、われわれのEV化の道筋に参加してくれて、日産のEVのファンになってくれている。後戻りはない。2030年までにすべての車種をEVに転換する。これがわれわれのビジネスにとって、顧客にとって、そして地球にとって正しいことだと信じている」と述べた。

 

 日産とアライアンスを組む仏ルノーも、2030年までに全販売車種をEV化する新たな目標を定めており、日産の今回の欧州市場でのEV化宣言は、ルノーとの連携でもある。フォードやステランティスも2030年までに欧州市場でのフルEV化を計画しており、ボルボはグローバル市場でのフルEV化を計画している。日産の今回の方針はこれらのライバル各社への対抗と同時に、EV車では価格面で優位にある米テスラや中国のメーカーに対抗する狙いもある。

https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/nissan-counts-down-to-electric-only-sales-in-europe

https://global.nissannews.com/en/releases/nissan-counts-down-to-electric-only-sales-in-europe