HOME10.電力・エネルギー |SBIとアスエネ共同のカーボンクレジット市場「カーボンEX」。4日に市場開設。取引は今月末から。約300社が取引参加の見込み。東証のクレジット取引所は11日開設(RIEF) |

SBIとアスエネ共同のカーボンクレジット市場「カーボンEX」。4日に市場開設。取引は今月末から。約300社が取引参加の見込み。東証のクレジット取引所は11日開設(RIEF)

2023-10-04 01:29:22

CarbonEXキャプチャ

 

 SBIホールディングスとアスエネ(東京・港)が共同で設立したカーボンクレジット・排出権取引所の「カーボンEX」は4日、開設する。取引するクレジットは日本のJ-クレジットのほか、海外で開発されたクレジットも含まれる。実際の取引は10月末から専用サイトでスタートの予定で、すでに金融機関はじめ、電力・ガス、製造業など約300社が取引参加者として登録しているという。東京証券取引所のカーボン・クレジット取引市場は今月11日から開始予定で、日本のクレジットも市場取引の時代に入る。

 

 「カーボンEX」で取引するクレジットは、日本では国ベースの排出権取引制度がまだないが、国が認定するJ-クレジットのほか、再エネ発電等から生み出される非化石証書、海外での自主的カーボンクレジット(VCM)などを対象とする。売買はスクリーンベースで、日本語/英語版の両方で24時間360日のアクセスが可能。https://rief-jp.org/ct4/136236?ctid=

 

  取引するクレジットについては、同取引所で独自の審査を行うほか、外部評価機関の英BeZero Carbonが提供するクレジットの格付制度(BCR)によって信頼性を担保するとしている。BeZeroは2020年設立のカーボン格付機関で、リスクベースのフレームワークに基づき、各クレジットの炭素効果の評価を提供している。日本にもオフィスを開設している。

 

 カーボンEXに現時点で登録されているクレジット・非化石証書等は35種類あるという。全体の登録クレジット量は130万㌧以上。取引サイトでは、現時点で取引可能なプロジェクトの種類、クレジット提供量、価格、格付情報等が示される。買い手企業はこれらの情報から、自社の排出量管理に適したクレジットの購入を申し込む形となる。

 

売り出されるクレジットのメニュー例(日本経済新聞電子版から)
売り出されるクレジットのメニュー例(日本経済新聞電子版から)

 

 SBIとともに同取引所を主導するアスエネは、企業のCO2排出量の見える化のクラウドサービスを提供するとともに、企業が取り扱うクレジットの創出から調達までの支援事業も展開している。カーボンEX社は、アスエネCEOの西和田浩平氏と、SBI出身の竹田峻輔氏が共同CEOを務める。資本金1億円で、両社が50%ずつ出資している。

 

 11日から始まる東証のクレジット取引では、当面、J-クレジットの取引に絞って行う。こちらの参加登録者は現在のところ、188社。銀行やメーカー、商社等に加え、自治体の参加も予定している。取引は午前と午後の2回に売買機会を限定する。カーボンEXと取引時間、対象が異なることから、共通するクレジットについては、両市場間での裁定が働く期待もある。https://rief-jp.org/ct4/139134

 

 一方で、国内での取引クレジットの中心となるJ-クレジットや非化石証書等は、発行量が限られていることから、カーボンEXと東証市場の取引が競争・競合すると、取引に十分なクレジット量を確保できるかという課題もある。海外のVCRクレジット等については、特に自然由来クレジットの信頼性評価が課題となっている。

https://carbonex.co.jp/#company