HOME4.市場・運用 |野村アセットマネジメント。「議決権行使基準」等を強化。ESG評価の尺度となる「ロールモデル基準」新設。社外取締役比率は「過半数」に引き上げ。未達の場合は議案に反対(RIEF) |

野村アセットマネジメント。「議決権行使基準」等を強化。ESG評価の尺度となる「ロールモデル基準」新設。社外取締役比率は「過半数」に引き上げ。未達の場合は議案に反対(RIEF)

2023-11-01 23:02:53

nomuraAMキャプチャ

 

 野村アセットマネジメントは1日、責任投資や議決権行使の基準等の改定を発表した。議決権では、東証株価指数(TOPIX)100構成企業を対象としてESG課題への取り組みの基準となる「ロールモデル基準」を新設する。各企業のESG取り組みが同基準に照らして明らかに不十分と判断する場合は、取締役選任議決の賛否に反映させる。投資先企業のコーポレートガバナンス改善を促すため、取締役会での社外取締役比率の最低基準を「過半数」に引き上げるなどの判断基準を改定・強化する。

 

 同社は、責任投資の基本方針に盛り込んでいる「投資先企業の望ましい経営のあり方」において、ESG課題への取り組みに関する規定を拡充するほか、資本の効率的活用による企業価値の創造において、資本コストや株価を意識した経営を求める姿勢を明記するとしている。

 

 これまでも同社は、投資先企業に対して、社外取締役を主体とする取締役会が経営陣を監督する「モニタリング・ボード」体制への移行を重視する姿勢をとってきた。今回の「基本方針」での改定は、同モニタリング・ボードへの移行を含む実効的なESG課題の取り組みを推進するためのもの、と位置付けている。

 

 こうした基本方針に基づき、議決権行使基準に企業のESG取り組みを反映させる基準を明確化するために「ロールモデル基準」を新設する。同基準に照らして、「明らかに不十分」と判断した場合に、取締役選任議決に反対する。ESG課題が株主総会で議論になるケースは増えてきているが、投資家として議決権行使に踏み切る判断の妥当性、一貫性を説明できる尺度が明確でないとされる点を整備する形だ。

 

 新設するロールモデル基準に対して、投資先企業側が対応するための時間を確保するため、野村AMが同基準を投資判断に適用するのは1年の猶予期間を設定して、2024年11月以降からとする。

 

 ガバナンス評価の基準改定では、社外取締役比率の最低基準を。これまでの「3分の1」から「過半数」に引き上げる。国内の資産運用会社では、同基準は「3分の1」のところが多く、野村AMでは「過半数」への引き上げは初めてとしている。同基準改定も投資先企業の対応時間を考慮し、2024年11月以降の適用とする。

 

 監査役会設置会社の取締役の任期評価の基準を新設する。同任期を1年ではなく2年とする場合は、ガバナンス効果が期待できないので、反対することを明記する。同基準は同社のモニタリング・ボードの要件の一つとしている。

 

 報酬に関するガバナンス規定が整備されていない場合は、役員報酬に関するすべての議案に反対(改定前は一部議案に限定)することに改めるほか、社外取締役が過半数に満たない場合も、役員退職慰労金に関わる全ての議案に反対する(同)。モニタリングの要件に取締役の人数(5人以上、20人未満)基準を加え、これを満たさない場合は反対すると明記した。

https://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/vote_policy20231101.pdf

https://www.nomura-am.co.jp/news/20231101NAM.pdf