HOME8.温暖化・気候変動 |今年の地球の平均気温。10月まで5カ月連続で観測史上最高を更新。年間でも「もっとも沸騰した年」が確実に。このままだとパリ協定の「1.5℃目標」到達は2034年5月(RIEF) |

今年の地球の平均気温。10月まで5カ月連続で観測史上最高を更新。年間でも「もっとも沸騰した年」が確実に。このままだとパリ協定の「1.5℃目標」到達は2034年5月(RIEF)

2023-11-09 21:45:50

Copernics003キャプチャ

 地球の「沸騰」がより明確になってきた。10月の世界の平均気温は月単位の観測で過去最高記録を更新、6月以来5カ月連続で過去最高気温を続けた。1月以降10月までの10カ月間平均気温も、これまでの最高だった2016年の10カ月間より0.10℃上回り、2023年が過去最高気温の年になることは確実だ。気温上昇にはエルニーニョの影響もあるが、今年のエルニーニョ現象は近年の発生に比べマイルドとされ、人類の経済活動によるCO2排出増大の影響が大きいとされる。このままだと、パリ協定の抑制目標の「1.5℃」は2034年5月に突破するとの試算も公表された。

  EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」が発表した。それによると、10月の世界の平均気温は15.30℃で、1991~2020年の平均値に比べて0.85℃高く、10月としては過去最高の平均気温だった2019年の気温を0.40℃上回った。

 1~10月の平均気温は、産業革命前の1850~1900年の同10カ月間の平均気温に比べると、1.43℃高いことになる。南北の緯度60°の間の海洋の同月の表面平均温度は20.79℃で、これも観測史上最高の温度だった。

世界の月ごとの平均気温
世界の月ごとの平均気温

 

 エルニーニョの影響は、近年に同様に発生した1997年、2015年の同現象に比べると、マイルドと評価している。両年のエルニーニョは歴史的にも強力な影響を及ぼした。

 パリ協定は気候変動の影響を抑制するため、世界の気温上昇を産業革命前以来、1.5℃以内に抑制する目標を示している。現在はほぼ1.2℃水準とされてきたが、今年の5カ月連続の世界の平均気温最高値更新を踏まえ、C3Sは世界の平均気温がパリ協定の「1.5℃」目標に達する時期について、2034年5月と推計した。また現状についても「1.43℃」にまで上昇していると指摘している。

 同機関は「『1.5℃』目標は、遠い目標のように思う人が多いかもしれないが、そうした思いよりも、実際はもっと早く到達する可能性がある。専門家は、2030年~2050年初めの間のいずれかに、起きるとみているが、われわれは現在の気温上昇のトレンドが進めば、2034年中に到達するとみている」としている。

 C3Sの副局長のSamantha Burgess氏は「今年は観測史上もっとも世界の平均気温が高かった年になるのはほぼ間違いない。産業革命前に比べ、1.43℃の気温上昇でもあり、今月末に開催される国連気候変動条約第28回締約国会議(COP28)において、『野心的な気候行動』をとる緊急性は、決して高くない」と強調している。

 英インペリアルカレッジロンドンの気候学者、Friederike Otto氏は「今年が、歴史的な暑い年だった事実は、人類の被害も記録的だったことを意味する。異常な高温によって悪化した異常な熱波と日照りにより、人々は、多くの死者を出し、生活を脅かされ、移住を余儀なくされている。こうした被害も記録的だ」と指摘した。そのうえで「この点こそが『1.5℃目標』を設定したパリ協定が人権のための条約だという意味だ。同条約の目標を達成しないと、大規模な人権侵害が現実化する」と警告している。

https://climate.copernicus.eu/copernicus-october-2023-exceptional-temperature-anomalies-2023-virtually-certain-be-warmest-year

https://climate.copernicus.eu/2023-track-be-hottest-year-ever-whats-next

https://www.theguardian.com/environment/2023/nov/08/2023-on-track-to-be-the-hottest-year-on-record-say-scientists