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東証カーボンクレジット市場。マーケットメーカー制度導入。商社・金融機関等5社。28日の取引は売買量で過去2番目、取引額で最高を記録。「実質取引ゼロ日」も3日に1日の割合(RIEF)

2023-11-28 23:56:00

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 東京証券取引所は、10月から始めたカーボン・クレジット市場にマーケットメイカー制度を試行的に導入した。マーケットメーカーは市場に流動性を供給する役割を担う。一定量の取引資産(同市場ではクレジット)を自ら保有し、売りと買いの呼び値を市場に示して取引を促進する。指定されたのは住友商事等の商社3社と、みずほ銀行、大和証券の金融2社の合計5社。マーケットメーカー導入の成果もあってか、28日の取引は売買量で市場開設以来2番目に多く、売買金額では最も高くなった。

 マーケットメーカー制度の試行実施は、11月27日から2024年2月29日までの間。取り扱い対象のクレジットは、J-クレジット 省エネルギーとJ-クレジット 再生可能エネルギー(電力)の2種類。呼値を提示するのは取引日の午後1時から同3時の間。

 マーケットメーカーに指定されたのは、住友商事、丸紅、三井物産と大和証券、みずほ銀行の5社。それぞれ売りと買いの呼値を毎日提示するほか、政府から調達したクレジットの市場への供給機能も担う。

 10月11日に始まった東証のカーボンクレジット取引は、出足の8営業日での取引量が1万㌧を超したが、その後の9営業日では合計300㌧と一気に息切れを示した。取引ゼロの日も続いた。https://rief-jp.org/ct4/140323?ctid=69

 その後、今月中旬になって、市場テコ入れ策でもあるマーケットメーカー制度の導入に先駆ける形で、22日には、取引量が過去最高の6430㌧、取引金額も1191万7200円(終値ベース)と初日の取引額を上回った。さらに同制度導入後の28日の取引高は22日に次ぐ2番目の5510㌧、取引高は過去最高の1497万6500円(同)となった。

 ただ、取引高が急増する前の2営業日は取引ゼロ、取引2㌧と2日連続で実質取引無しの状態だったことから、マーケットメーカー制度導入に合わせて、取引注文を集中させた可能性もある。28日までの33営業日で、取引がゼロあるいは1㌧前後の「実質ゼロ取引」の日は、10営業日となっている。3日に1日は取引無しの閑散市場になる計算だ。