大和証券系SRIファンドは依然、東電株保有を継続。社会的責任ファンドとしての意義に疑問(FGW)
2011-05-24 22:36:00
企業の環境、社会、ガバナンス(ESG)の側面を重視する社会的責任投資(SRI)が、今回の東電福島原発事故を受けて、東電株投資を「社会的責任」としてどう認識するかで、SRIファンドの対応の違いがあることを、これまで本サイトでも指摘してきた。民間の社会的責任投資フォーラム(SIF-Japan)のまとめによると、いくつかのSRIファンドが事故後東電株を売却するなかで、大和証券系の4ファンドが依然、保有を続けているという。
SIF-Japanは、SRIファンド、エコファンドを名乗る31の国内公募投信の運用報告書を調査した。http://www.sifjapan.org/document/110519sri.pdf
それによると、31ファンド中、電力株保有(東電以外を含む)のファンドは約3分の2の19ファンドだった。東電事故後、中央三井アセットマネジメントが運用する中央三井社会的責任ファンドは、ESG評価を担当するインテグレックス社がガバナンスウオッチ扱いにしたほか、住信アセットマネジメントが、4つのファンドから東電株を全株売却するなどの対応が行われた。
しかし、目につくのは大和証券系の大和証券投資信託委託運用の4つのファンドだ。ダイワ・エコ・ファンド(45000株)、ダイワ・エネルギー・テクノロジー・ファンド(11,000株)、次世代環境ビジネスファンド(6,000株)、環境ビジネス日本株オープン(1,200株)である。これらは東電株以外にも、ダイワ・エコ・ファンドが関西電力、Jパワー株を保有するなど、電力株への投資を重視していることがわかる。
本サイトでも何度か指摘したように、原子力投資、電力投資をESGの視点で評価したうえで投資するならば、それはそれぞれのファンドの運用方針なので、脱原発を強いる必要はない。ただ、大和証券系の4ファンドについては、SIF-Japanの調査でもそうした明確な方針は、事故以前も以後も示されていないようである。大和証券系以外では、三菱UFJ投信の三菱UFJSRIファンドが東電株47,100株のほか、中部電力(22,000株)、関西電力(34,200株)、東北電力(12,400株)を保有するのが目立つ。
仮に原発投資がESG的に問題ないとの立場をとるとしても、すでに明らかになっているように、東電の財務的な将来性は極めて困難な状況にある。被害者への賠償問題は政府のスキームが用意されるとしても、原発廃炉の費用だけでも数兆円単位になるとみられ、無配当、株価低迷はかなりの期間続くとみられる。財務的にも投資不適格寸前にある。この点でも、本来は投資家に説明が必要であろう。
この点では、中央三井社会的責任ファンドも、いち早くガバナンスウォッチの対象にはしたものの、その後、東電の財務内容等が明らかになっているのに、追加の措置がないままであるのも気になる。
環境配慮をうたいながら、実際にはそうではない行動をとることを“グリーンウォッシュ”と呼ぶ。これになぞらえると、SRI・エコファンドを名乗りながら、そうではない行動をとっているようにみえる大和証券系ファンドや三菱UFJ系ファンドは、「SRIウォッシュファンド」あるいは「エコウォッシュファンド」と呼んだほうがいいように思える。大和証券にはこれまでエコをアピールしてきた人材もいるはずだが、グループ内のエコ化はどうなのか。
こうした「ウォッシュファンド」とは対照的に、東電株だけでなく電力株を投資銘柄から一切はずしてきたファンドとして、朝日ライフアセットマネジメントの「朝日ライフ社会的貢献ファンド(あすのはね)」や、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ健康応援ファンド」、損保ジャパン日興アセットマネジメントの「損保ジャパンSRIファンド」、パインブリッジ・インベストメントの「りそなジャパンCSRファンド」などがある。
SRIファンド、エコファンドも、名前だけで投資するのではなく、運用方針と運用履歴、中身について、じっくり見極める必要がある。
関連記事 http://financegreenwatch.org/jp/?p=1168
http://financegreenwatch.org/jp/?p=1049
http://financegreenwatch.org/jp/?p=810
SIF-Japanは、SRIファンド、エコファンドを名乗る31の国内公募投信の運用報告書を調査した。http://www.sifjapan.org/document/110519sri.pdf
それによると、31ファンド中、電力株保有(東電以外を含む)のファンドは約3分の2の19ファンドだった。東電事故後、中央三井アセットマネジメントが運用する中央三井社会的責任ファンドは、ESG評価を担当するインテグレックス社がガバナンスウオッチ扱いにしたほか、住信アセットマネジメントが、4つのファンドから東電株を全株売却するなどの対応が行われた。
しかし、目につくのは大和証券系の大和証券投資信託委託運用の4つのファンドだ。ダイワ・エコ・ファンド(45000株)、ダイワ・エネルギー・テクノロジー・ファンド(11,000株)、次世代環境ビジネスファンド(6,000株)、環境ビジネス日本株オープン(1,200株)である。これらは東電株以外にも、ダイワ・エコ・ファンドが関西電力、Jパワー株を保有するなど、電力株への投資を重視していることがわかる。
本サイトでも何度か指摘したように、原子力投資、電力投資をESGの視点で評価したうえで投資するならば、それはそれぞれのファンドの運用方針なので、脱原発を強いる必要はない。ただ、大和証券系の4ファンドについては、SIF-Japanの調査でもそうした明確な方針は、事故以前も以後も示されていないようである。大和証券系以外では、三菱UFJ投信の三菱UFJSRIファンドが東電株47,100株のほか、中部電力(22,000株)、関西電力(34,200株)、東北電力(12,400株)を保有するのが目立つ。
仮に原発投資がESG的に問題ないとの立場をとるとしても、すでに明らかになっているように、東電の財務的な将来性は極めて困難な状況にある。被害者への賠償問題は政府のスキームが用意されるとしても、原発廃炉の費用だけでも数兆円単位になるとみられ、無配当、株価低迷はかなりの期間続くとみられる。財務的にも投資不適格寸前にある。この点でも、本来は投資家に説明が必要であろう。
この点では、中央三井社会的責任ファンドも、いち早くガバナンスウォッチの対象にはしたものの、その後、東電の財務内容等が明らかになっているのに、追加の措置がないままであるのも気になる。
環境配慮をうたいながら、実際にはそうではない行動をとることを“グリーンウォッシュ”と呼ぶ。これになぞらえると、SRI・エコファンドを名乗りながら、そうではない行動をとっているようにみえる大和証券系ファンドや三菱UFJ系ファンドは、「SRIウォッシュファンド」あるいは「エコウォッシュファンド」と呼んだほうがいいように思える。大和証券にはこれまでエコをアピールしてきた人材もいるはずだが、グループ内のエコ化はどうなのか。
こうした「ウォッシュファンド」とは対照的に、東電株だけでなく電力株を投資銘柄から一切はずしてきたファンドとして、朝日ライフアセットマネジメントの「朝日ライフ社会的貢献ファンド(あすのはね)」や、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ健康応援ファンド」、損保ジャパン日興アセットマネジメントの「損保ジャパンSRIファンド」、パインブリッジ・インベストメントの「りそなジャパンCSRファンド」などがある。
SRIファンド、エコファンドも、名前だけで投資するのではなく、運用方針と運用履歴、中身について、じっくり見極める必要がある。
関連記事 http://financegreenwatch.org/jp/?p=1168
http://financegreenwatch.org/jp/?p=1049
http://financegreenwatch.org/jp/?p=810