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「やらせメール」の九州電力、お目付役の社外取締役・監査役は?(FGW)

2011-07-11 16:46:54

原発運転再開を巡って企業ぐるみの「やらせメール」を発信した九州電力のガバナンス体制のズサンさが指摘されている。そうしたガバナンスの是非をチェックする立場にあるのが外部ステークホルダーの社外取締役、社外監査役だが、果たして同社の「社外」は機能したのか。

同社には社外取締役1人、社外監査役3人が任命されている。社外取締役が、トヨタ自動車出身の渡辺顯好氏、社外監査役は、新日鐵系の村山紘一氏、元福岡県副知事の稗田慶子氏、元九州大学副学長の矢 田俊文氏である。いずれも、九州の政財界のトップ格で構成している。

 同社はこうした社外役員の位置づけについて、「取締役会と監査役会を設置するガバナンスを基本として、独立性の高い社外取締役を選任し、経営に対する監督機能の強化を図るとともに、監査役と内部監査部門が連携し、監査の実効性を高めている」としている。ということは、今回の「やらせメール」事件が、一部の役員等の暴走なのか、組織ぐるみの行為なのかを、社外取締役と社外監査役は、監督責任として見極める立場にあるわけだ。

 同社では第三者委員会を設置して、実態解明を進める方針というが、その前に、これら社外役員が本来の機能を果たしているのかどうかを、問うべきであろう。そうではないと、これらの社外役員は、九電を取り巻くすべてのステークホルダーの代表ではなく、トヨタ、新日鐵、福岡県、九州大学といった地域エスタブリッシュメント機関の代弁者とみなされても仕方がない。

九州電力の有価証券報告書: https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1310368745874