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英Climate Bonds Initiative グリーン不動産用のスタンダード公開(FGW)

2015-06-03 17:52:56

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英非営利団体のClimaet Bonds Initiative(CBI)は、グリーンボンドの対象となるグリーン不動産の評価スタンダードをまとめ公開した。

 

グリーンビルディングなどのグリーン不動産は、欧米で急成長しているグリーンボンドの有望な対象資産として位置づけられる。しかし、現在、欧米で流通しているビルディングなどの環境評価の仕組み(LEED, BREEAM、Green Starなど)は、グリーンの定義を広くとっていることから、温暖化対策で低炭素化を強化しても、LEED等の認証がアップする仕組みになっていない。

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たとえば、米ニューヨークのオフィスビルを対象とした調査では、CO2の排出量削減が不十分でもLEEDの評価が高くついたり、温暖化対策とビル全体の環境評価の相関性が低いなどの結果が出ている。また、従来のビルの評価制度は、ビルを建設時点での評価が主で、ビルの使用に伴う長期的な環境影響評価が十分ではない、などの点も指摘されている。

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こうしたことから、CBIが今回まとめたグリーン不動産の評価スタンダードは、CBIが認証するグリーンボンド(ないしはクライメートボンド)のポートフォリオ全体での最小基準を設定し、ボンドの対象となる不動産資産全体でこの基準を維持できているかを評価する。このポートフォリオとしての最小基準を維持できているかどうかは、ボンドの発行時だけでなく、発行期間を通じて評価する。したがって、ビルの使用時の評価も加えられることになる。

 

低炭素化への影響度が物件によって異なる多様な不動産をボンドに組み込むためには、個々の物件ごとに適確な評価と情報の開示が求められる。そこでCBIは商業用不動産、居住用不動産、アップグレード事業の3つの分野に分けて評価基準を整備した。

このうち、商業用ビルディングの低炭素化スタンダードは、ビルからの排出量ベースラインを、当該都市部の低炭素化上位15%の不動産の水準として設定する。これらのビルからの温室効果ガスの排出量は2050年にはゼロとなる設定とする。

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たとえば、オーストラリアのシドニーの排出量ベースラインが㎡当たりのCO2出量が70kgだとした場合、2050年の排出量ゼロまでの削減ラインを設定、グリーンボンドが20年債ならば、㎡当たり50kgの排出量に低減できているかをチェックする。

 

投資対象のグリーンボンドのポートフォリオ評価に際しては、二種類のオプションを想定している。一つは、債券発行時点でCO2排出量がすでに償還期間を通じての基準を達成している場合と、発行時点では上回っているが、償還期間を通じて削減を進め、償還時点には超過達成している場合である。CBIはどちらも評価対象とする。

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そのほかCBIは対象都市の低炭素化スタンダード以下の物件や、発展途上国の不動産についても、別途、評価し、認証を与える道を示している。またCBIはLEEDや国際金融公社(IFC)などがすでに開発している評価ツールを活用することで、低コストで迅速なグリーン評価が可能な仕組みにすることが、不動産対象のグリーンボンドの普及につながると位置づけている。

 

http://www.climatebonds.net/standards/standard/green-buildings#Committee members