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静岡の「鈴与商事」 食品・農業廃棄物をバイオマス発電で200世帯分の電力に、排気ガスは地域農業に活用(RIEF)

2016-02-17 19:07:50

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 エネルギー関連事業の鈴与商事(静岡)は、食品廃棄物や農業廃棄物などを原料とするバイオマスプラントを完成させた。地元の自治体や地域自治会などと連携し、資源循環ネットワークの構築を目指す。

 

 鈴与が完成させたのは静岡県菊川市に建設していた「鈴与菊川バイオガスプラント」。総投資額9億円で、発電能力は10kW、一般家庭200世帯分の年間電力使用量を供給することができる。またCO2の削減効果は年間878.2㌧を見込んでいる。

 

  同システムの発電原料としては、鈴与グループで食品製造業のエスエスケイフーズの食品廃棄物のほか、グループの農業生産法人ベルファーム社の農業系廃棄物、さらに地域から排出される刈草などの有機系廃棄物を使用する点だ。これれをまとめて一日当たり約6.7㌧分をプラントに投入してメタン発酵させてバイオガスを抽出、同ガスを発電の燃料とする仕組みだ。

 

 また発電に伴って排出されるメタン発酵後の消化液や排気ガスについても再利用する。化液などの残渣は、露地作物や施設農業、さらに地元で盛んな茶業用の肥料として活用するため、静岡県農林技術研究所(磐田市)、同茶業研究センター(菊川市)と連携して地域に還元できるよう研究を進める。

 

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 また発電用に燃焼させたバイオガスの排気ガスは、大阪府立大学大学院 工学研究科の安田准教授と、公害防止機器研究所の技術支援によって、NOx(窒素酸化物)を除去してCO2を精製した後に、ベルファームの農作物の光合成促進に活用する予定という。

 

 静岡県は、食品製造業・施設農業で全国屈指の地域でもあり、バイオガス発電の原料には事欠かない。食品・農業生産物の栽培から製品化、廃棄物回収から発電・副産物の再利用で地域の産業を支援する循環型の仕組みは、廃棄物とエネルギーコストの削減を推進し、資源循環型社会の形成への貢献するため、他の地域のモデル取り組みになるとみられている。

 

http://www.suzuyoshoji.co.jp/common/pdf/2016/0209_news.pdf