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東京都の排出量取引制度 第一計画期間の5年間は、大幅超過達成。基準年より25%削減。今年度からの第二期間も順調(RIEF)

2016-03-11 15:05:03

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 東京都は、温暖化対策のため、2010年度から実施してきた都独自の排出量取引制度(C&T)によって14年度までの5年間で、約1400万㌧の温室効果ガスの削減を実現したと公表した。都内のビルラッシュで対象事業所の延べ床面積が増える中、14年度の削減率は基準年比で25%減を達成した。

 

 排出権取引制度は、温室効果ガス削減を経済合理的に達成する経済的手段として、欧州連合(EU)や米東部州、カリフォルニア州などで実施されている。わが国では国レベルの制度化は経済界の反対で先送りされているが、東京都は2010年度からの5か年間を第一計画期間として制度導入を実施した。

 

 第一計画期間(2010~14年度)では、一定規模以上のオフィスビルなどの業務系では基準年比8%削減、工場などの産業系は同6%削減、第二計画期間(2015~19年度)はそれぞれ17%減、15%減の目標を設定している。

 

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 しかし、今回の結果で、第一期間は9割以上の対象企業。事業所が自らの省エネ活動などで義務的目標を達成した。さらに約7割の企業は、14年度時点で、第二期間の目標分を超過達成した。

 

 第一期間の間、制度の対象となる都内のオフィスビルなどの総床面積は、都心部での建設ラッシュもあって、14年度で前年度比約1%増加した。基準年度比では約4%増と拡大した。しかし、全体で約25%減の大幅達成を実現した。5年間で1300万㌧の温室効果ガス排出量削減は、都内世帯数の約2割に相当する約130万世帯の5年間のCO2総排出量に相当する。

 

 温室効果ガスの削減に効果的だったのは、エネルギー使用量の多い照明と空調設備の省エネ対策。また2011年の東日本大震災の年に、思い切った省エネ対策を実施した事業所の割合が増加し、その後も、高い水準で推移していることも大きい。

 

 今年度から始まっている第二期間でも、LED照明の導入などで新たな省エネ化が進むとみられ、推計削減量は最終年度の19年度で全体的に19%削減を見込んでいる。「空調と照明」。この二つの省エネ政策がもっとも経済合理的な削減手段として位置づけられている。

 

 ただ、第一期でも約9%の対象事業所は、自ら目標を達成できなかった。それらの企業は、超過達成した他の企業から排出量クレジットを購入して、目標を満たした。C&T取引効果は補完的だが、機能したといえる。

 

 都が義務的に実施してきたC&Tの効果を評価するため、全国の産業・業務部門の最終エネルギー消費量の推移と比較した。その結果、2005年度を100として14年度までの削減率をみると、全国部門の変化は87と13%減となるが、東京都は78で22%減と10ポイント以上も改善率が高いことがわかる。

 

 都は「C&Tの対象事業所は、全国と比較し、継続的にかつ大幅に削減している」と、制度の効果を評価している。

 

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/large_scale/press20160225.pdf