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独ダイムラー社 「メルセデスベンツ」ブランドの蓄電池を家庭・オフィス向けにグローバル販売へ。「自動車のベンツは買えなくても、わが家は蓄電池が『ベンツ』」で消費者に人気となるか(RIEF)

2016-06-08 18:19:48

Benz1キャプチャ

 

  メルセデスベンツなど高級車メーカーであるドイツのダイムラーが、オフィスや家庭で使えるリチウム電池の定置型蓄電システムを売り出す。グローバルに販売する子会社の「Mercedes-Benz Energy GmbH」を設立した。ベンツを買うのはちょっと高いけど、「わが家の電池はベンツ」と、ブランド戦略でグローバルセールスをする考えだ。

 

 定置型蓄電池は、わが国でも、家電メーカーなどが参入、家庭の屋根やオフィスに太陽光発電を設置した場合の蓄電設備として、じわじわと広がりを見せている。リチウム電池を使用することで、長期間使用しても劣化による電池容量の低下が少なく、非常時にも使用できるなどの利点がある。

 

 ベンツは元々、自社ブランドの電気自動車やハイブリッド車用に車載用リチウム電池を、別の子会社の Deutsche ACCUMOTIVEで開発してきた。今回は家庭やオフィス用の蓄電池市場が今後、グローバルに発展すると踏んで、別会社を組織、グローバル販売に乗り出す。ダイムラーの Development Electrics/Electronics and E-Driveの責任者である Harald Kröger氏は「新子会社設立で、顧客のより多くの要請に応えることができる」と市場の手応えを強調している。

 

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 ダイムラーはすでに国内では4月から販売を開始しており、今回、国際展開に踏み出す。各国市場での展開ではそれぞれパートナー企業と提携していくという。「ベンツ蓄電池」の製造は、Deutsche ACCUmotiveが引き続き担当し、同社のカーメンツ、ザクセンにある工場の生産ラインを拡大する。

 

 ただ、蓄電池の顧客は、自動車の顧客と異なった需要層であり、かつその幅も家庭からオフィス、工場などと多様。また、それぞれの自家発電設備の仕様やコミュニティ・自治体のエネルギー政策などによっても需給が変化する。 Kröger氏は「顧客の要求に、より柔軟に応える必要がある。また必要に応じて製品のポートフォリオについても広げていく」と説明している。「ベンツ蓄電池」のフルラインがそろうのは2017年からになりそう。

 

 わが国の定置型蓄電池市場をみると、家庭用は安いものなら100万円以下のものからあり、100万円台が一般的。しかし、オフィスや工場など向きの容量の大きなものになると、数百万円にもなる。自動車の「ベンツ並み」の価格帯のものもある。新会社の Mercedes-Benz Energyは まず50人規模でスタートし、今年末に100人、来年末に200人に規模を拡大する計画。

 

 ビジネスを推進するパートナー企業としては、太陽光分野のドイツの専門企業Energie Baden-Württemberg (EnBW)や、すでにダイムラーとジョイントベンチャーを運営している  The Mobility House AG 、GETECなどとも、この分野で提携を強化していく方針だ。リサイクル分野の専門会社Remondis GmbH、エネルギープロバイダーの enercity (Stadtwerke Hannover AG)などもネットワークに入っている。

 

 グローバル市場での展開では、ダイムラーの世界ネットワークを活用するほか、米国市場ではシリコンバレーにあるグループのシンクタンクの Mercedes-Benz Research & Development North Americaとの連携も強化していくという。

 

http://media.daimler.com/marsMediaSite/en/instance/ko/Daimler-Establishes-Mercedes-Benz-Energy-GmbH-for-Stationary.xhtml?oid=11025299