HOME |Nestlé Waters ボトル飲料の製造廃棄物等を活用して、スイス最大のバイオガス工場建設。エネルギーのリサイクルと、CO2大幅削減を目指す(RIEF) |

Nestlé Waters ボトル飲料の製造廃棄物等を活用して、スイス最大のバイオガス工場建設。エネルギーのリサイクルと、CO2大幅削減を目指す(RIEF)

2016-06-16 15:59:57

Nastleキャプチャ

 

 ボトル飲料で世界最大シェアを持つスイスのNestlé Watersは、地元の農業法人と共同で、ネスカフェやネスプレッソなどの製造工程で出る食品廃棄物や農場廃棄物から、バイオガスを抽出するスイス最大の工場を竣工させた。

 

 Nestlé Watersはペリエやビッテル、アクアパンナなどのグローバルブランドでボトル飲料水製造販売のトップ企業となっている。今回、新設されたバイオガス工場は地元の持続可能な農業団体のGroupe E GreenWattが建設し、運営する。新規工場はNestléのボトル工場の隣の産業団地に設置された。

 

 新工場は近隣の27の農場から集める年間2万5000㌧の農業廃棄物や、Nestlé自身のNespresso と Nescaféの製造工程から抽出後に排出する同3800㌧の廃棄物などを、農業肥料に転換する場となる。

 

完成したバイオガス工場
完成したスイス最大のバイオガス工場

 

 廃棄物処理でで出るバイオガスを燃焼させることで400万kWhの電力と、排熱450万kWhを得ることができる。このうち熱についてはNestléが工場内で活用する。製造に伴う廃棄物等をリサイクルする活動は、同社が2009年から実施している「Eco-Broye Program」の一環でもある。同programに基づき、新工場周辺の100㌶の敷地は、生物多様性と自然資源保全を維持したグリーン工場となる。

 

 Henniez工場は、工場で使用するエネルギーの50%までを再エネ比率にする計画で、年間1750㌧のCO2排出量の削減目標を掲げている。バイオガス生成処理後に残る残渣については、農家の肥料として活用する予定。

 

 Nestlé Watersは、持続可能な水資源管理の重要性を消費者や市場に周知することを目指しているほか、地域の再生可能エネルギー資源の活用促進を進めている。Nestlé Waters 全体では「消費者の幸せ」を最優先課題として設定、①食品と健康②環境と持続可能性③社会と経済、の3分野での社会的責任を果たすことを宣言している。

 

 特に環境面ではスイスにある全工場のCO2排出量を2015年~2020年の間に半減させるほか、生産工程における水の消費も同期間に50%削減を目標としている。また工場からの廃棄物ゼロ化目標は昨年中に達成している。

 

 Nestlé Waters はボトル飲料の世界シェアで11.7%を占め、トップの座を維持している。健康飲料ブームや途上国等での安全飲料源などの需要もあり、市場は毎年拡大し続けている。年間の一人当たりボトル飲料量は39㍑(500mlボトルで78本)を消費している計算だ。もっとも国や地域によって消費量にはかなりの差がある。

 

 ただ、ボトル飲料は販売後のボトルが不正に廃棄され、各地で海洋汚染を拡大している問題が指摘されている。今後は、消費者との連携で使用済みボトルの回収や投棄された廃ボトルの処理などへの対応が問われそうだ。

 

http://www.nestle-waters.com/media/featuredstories#itemPerPage=20