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太陽光発電関連事業者の倒産、上半期は過去最多。毎年の価格引下げで事業見通し崩れる。東京商工リサーチ調べ(RIEF)

2016-08-02 16:28:22

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 東京商工リサーチは2日、太陽光関連事業者の本年上半期(1~6月)の倒産件数が前年同期比で24.0%増の31件になり、2000年以降の上半期データでは過去最多を記録した、と発表した。経済産業省が太陽光発電の買い取り価格を毎年引き下げてきたことが影響している。

 

 太陽光発電事業は、2012年に政府が再生可能エネルギー発電の固定価格買い取り制度(FIT)を導入したことで急成長した。FITは、発電事業者に対して長期間(20年)にわたって一定価格で発電電力を買い取ることを保証した制度。今回の調査では発電事業を行なう太陽光発電事業者のほか、発電パネルの製造・小売り、施工会社なども対象にした。

 

 上半期の倒産件数はすでに、年間で28件だった13年、14年の実績を上回っている。過去最多は昨年、15年の54件だが、このままの勢いが下半期も続くと、年間でも最高になる可能性がある。1~6月の関連産業の負債総額は前年同期比18.6%増の176億3200万円だった。昨年年間の負債総額は213億5500万円だったから、このままで推移すると負債総額も過去最高になりそうだ。

 

 FITによる太陽光発電の買い取り価格(10kW以上)は、制度発足の2012年度が40円(税抜き)だったが、その後の毎年の価格引下げで、現在(2016年度)は4割減の24円(同)に下がっている。東京商工リサーチは「一部企業が現実性を欠いた安易な事業計画で参入した結果、業績の見込み違いから倒産するケースが多いことを示している」と分析している。

 

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 負債額別では1億円以上5億円未満の中堅規模事業者の倒産が14件となり、全体の45%を占めた。上半期に発生したすべての企業倒産を見ると、負債額1000万円以上5000万円未満の構成比が53.6%と最も大きいのと比べると、太陽光関連の倒産は設備費がかさむため、負債額が大きくなる傾向が見られるという。上半期の大型倒産としては4月に破産した新電力大手の日本ロジテック(負債総額120億円)がある。

 

 倒産の原因別では、「販売不振」が最も多く16件(構成比51.6%)。次いで、「事業上の失敗」7件(同22.5%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ」各2件(同6.4%)となっている。「販売不振」は、販売価格を保証された電力事業者よりも、それらの事業者向けのパネル会社や、関連機器等の事業者の不振が多い。

 

 また「事業上の失敗」は、同期間中の全倒産件数の原因としては最も多いが、構成比は4.9%にとどまっている。それに比べると、太陽光発電の場合は、22.5%と高い。これは、「販売価格の固定」というFIT制度に依存し過ぎて、毎年の価格下落という政策の変更についていけなかった業者が多かったことを裏付ける。

 

 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160802_01.html