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温暖化対策のパリ協定、年内批准に向け、日本政府も準備に着手、臨時国会に批准案の提出も(各紙)

2016-08-16 18:05:46

par2iキャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本政府は16日までに、地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の年内批准に向けた準備を始めた。外務省と環境省は、早ければ秋の臨時国会にも提出する批准案の作成を進めている。

 

 日本政府はパリ協定で、温室効果ガス(GHG)の排出量を、2030年度に2013年度比で26%削減(2005年度比では25.4%減)する中期目標を示している。パリ協定は世界のすべての国が参加する公平で実効的な温暖化対策の国際的な枠組みとして、2020年以降の削減目標の立案で合意した。

 

 これを受けて、5月の伊勢志摩サミットでは「協定の年内発効に取り組む」ことに合意している。パリ協定の発効には、55カ国・地域以上の批准、かつ世界のGHG排出量の55%以上を占める国々の批准が必要となる。協定への批准については、米国がオバマ政権の下で、年内批准の方針を打ち出しているほか、中国、インド、ロシアなども年内批准に向けた国内手続きを進めている。

 

 欧州連合(EU)も批准に積極的だが、加盟28カ国間の削減目標の調整等の実務的準備が年内に、間に合うかは微妙。仮にEUが遅れても、すでに年内批准に向けた姿勢を鮮明にしている主要国だけでも、目標の55%達成が可能な見通しとなってきたことから、日本政府も出遅れるよりも、年内批准に歩調を合わせる方針を固めたとみられる。

 

 ただ、臨時国会では補正予算や環太平洋連携協定(TPP)も審議され、日程確保が課題となる。外務省幹部は「批准に国内法の改正は不要で、強い反対意見も見込まれない」と指摘している。

 

 パリ協定の年内批准に向けた動きが加速しているのは、米オバマ大統領の作戦による。11月の米大統領選挙で、温暖化懐疑論でパリ協定からの脱退を主張する共和党のトランプ候補が仮に選出された場合でも、同氏の就任前に協定が発効していれば、以後、3年間は脱退の通告ができない”縛り”がかかる。さらに実際の脱退は通告から1年後となり、次期大統領任期4年の間も、協定に基づいた温暖化対策を進められることになる。