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2015年の地球全体の大気のCO2濃度、年平均で初の400ppm台に到達。濃度上昇加速化の傾向。世界気象機関(WMO)が公表と警告(RIEF)

2016-10-25 16:25:34

WMOキャプチャ

 

  世界気象機関(WMO)は24日、地球上の温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の年平均濃度が過去最高の400.0ppmに達したと公表した。CO2濃度の400ppm台乗せは、特定の月や地域では観測されていたが、年平均でも大台に乗ったのは初めて。地球温暖化の加速を示している。

 

 またCO2以上の温室効果効果を持つメタン、一酸化二窒素(N2O)の年平均濃度も過去最高値となった。

WMO1キャプチャ

 

 2015年平均のCO2濃度400ppmは、14年に比べて、2.3ppm増えた。この増加率は13年から14年への増加率を上回るだけでなく、この10年の平均よりも高い。つまりCO2濃度の上昇は加速している。

 

 15年のCO2の増加ピッチが高かったのは、2015年に発生した強力なエルニーニョ(El Niño)の影響で、熱帯地域での少雨、干ばつが広がり、森林や植物、海洋のCO2吸収力が低下したことが大きいという。自然のCO2吸収力は排出量のほぼ半分をカバーするが、 その機能の低下で、CO2排出量の増加につながった可能性もある。

 

 1990年から2015年にかけて、CO2のほか、メタン、一酸化二窒素(N2O)が増大を続け、大気中での滞留期間が長期化したことで、温暖化効果を持つ放射力は37%増加した。

WMO2キャプチャ

 WMOの事務局長、Petteri Taalas氏は「2015年はパリ協定の合意によって気候変動への対処を決意した歴史的な年であるが、同時に、温室効果ガスの高度集中が記録的な水準を迎えたという点でも歴史的な年となった。エルニーニョ現象は消えても、気候変動は消えない」と指摘している。

 

  さらにTaalas氏は、今月開いたモントリオール議定書会議(MOP28)で、代替フロンのHFCの段階的生産規制で合意したことを高く評価しながらも、「部屋の中にいる真の象(温暖化の大きな要因の意味)は、CO2である。CO2削減に取り組まないと気候変動を抑制することはできない。したがって、パリ協定が発効後、われわれは早急に対策を実行しなければならない」と訴えた。http://rief-jp.org/ct4/65032?ctid=70

 

 大気中に長期滞留する温室効果ガスによる放射力の65%はCO2によって引き起こされると推計される。大気中のCO2濃度は産業革命前には、大気、海洋、生態系の間でバランスし平均278ppmだった。そこに産業革命以来の人類による化石燃料の使用などによって、400ppmにまで144%増加した計算だ。

 

http://public.wmo.int/en/media/press-release