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岩手県久慈市で、日本初の電力網と接続する波力発電所完成。寄せる波と引く波で、安定的な発電。東大生産技術研究所が開発(各紙)

2016-10-25 21:50:51

kujiキャプチャ

 

 東京電力生産技術研究所は、岩手県久慈市で、東北電力の電力網と接続する日本で初めての波力発電所を完成させた。出力43kW。これまでも実験用の波力発電所はあるが、実際の電力網に接続して配電するのは初めてで、11月にも運用を始めるという。

 

 久慈波力発電所は、久慈市玉の脇地区に設置。東日本大震災による被災地の産業育成を目指す復興プロジェクトの1つ。東大生産技術研の丸山康樹特任教授などのグループが開発した。



 波力発電所の仕組みは、発電機が収められた建物内の床下に、縦2m、横4mの「波受け板(ラダー)」と呼ぶ鉄板を海中に入れた構造。沖から打ち寄せる波と引き波とが、海中に差し込んだ板を捉えることで、板が動いてモーターが回り、発電する。

 

 出力の43kWは一般家庭10世帯分と小規模だが、電力会社の送電網を経由して、地元漁協の冷凍冷蔵庫に使うほか、余剰分は東北電力に無償で提供するという。波力発電は、自然エネルギーという点では太陽光や風力発電と同じだが、波が常時あるため、安定的に発電できる。ただし、台風などで大波が起きると装置が故障するリスクもあるという。

 

 今回の総事業費は約4億円。研究グループは2018年度まで実証実験を延長し、施設の耐久性や波の制御方法などを検証する。丸山特任教授は「エネルギーの地産地消や地球温暖化対策として進めてきた。国内には漁港が約3000カ所ある。企業に関心を持ってもらい、全国に普及させたい」と話している。