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環境省 「グリーンボンドの日本版ガイドライン」作成の検討会発足。国際基準より「緩め」で発行促進を目指す(RIEF)

2016-10-29 02:27:23

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 環境省は28日、「グリーンボンドに関する検討会」を発足させた。国際的にみて日本国内でのボンド発行が少ないので、発行を進めるためのガイドラインをまとめるという。世界ではグリーンボンド原則(GBP)が事実上の市場基準だが、環境省は日本の市場状況等を踏まえた「緩め」の日本版ガイドラインを目指す。

 

 環境省の発表資料によると、グリーンボンドの普及は国際的には急速に進む一方、国内では発行事例が少なく、今後の普及が課題、としている。そのためにGBPなどの国際的基準との整合性に配慮しつつも、「国内でグリーンボンドを発行するうえで期待される事項をガイドラインとしてまとめることを目的とする」としている。

 

 「国内版のガイドライン」が必要な理由として、ボンドを発行する際のコストや事務的負担を軽減すること、グリーンボンドの環境改善効果に対する信頼性を確保することが重要、と説明している。

 

 国際基準となっているGBPは、グリーンボンドの「グリーン度」を評価するための第三者機関による認証や格付け等を前提としている。環境省が「コスト・事務負担の軽減」が必要と説明するのは、これら認証や評価の費用削減を意味するように思われる。だが、「安売りの認証・評価」だと、投資家の信頼を確保できない可能性がある。

 

 もう一つの「グリーンボンドの環境改善効果に対する信頼性」という点について、GBPの場合、やはり第三者認証・評価によって信頼性を確保している。だが、環境省はGBPの仕組みでは信頼性が不十分とみて、追加的な措置が必要と考えているのかもしれない。しかし、そうなると、前述の「コスト・事務負担」が増加する可能性もある。

 

 グリーンボンドはグリーン事業への資金供給を目的としてはいるが、環境商品ではなく、会社法で定義され、金融商品取引法の規制を受ける投資金融商品である。したがって、環境省が定めるガイドラインが投資家にとってどれほどの意味を持つのかは不明。環境省自身も発表資料で「法的拘束力はない」と説明している。

 

 検討会の委員は10人で、水口剛高崎経済大学教授が座長に就任した。会議は非公開という。

http://www.env.go.jp/press/103125.html