原発事業の見直しで損失の増大を防ぎ、半導体事業の分社化等で2000億円超の利益を見込み、債務超過の回避を目指す方針。だが、資本増強が可能かどうかは不透明な状態が続いている。
綱川社長は自らの進退について「責任を大きく感じている。去就は(人事の諮問機関の)指名委員会に委ねる」 と語った。
2017-01-28 01:43:18
各紙の報道によると、東芝の綱川智社長は27日、記者会見し、米原発建設で最大7000億円の損失が見込まれる原子力事業を大幅に見直す考えを示した。海外を含め原発の建設工事から撤退することを想定している。半導体事業の分社化も同日の取締役会で正式決定した。(写真は、記者会見に応じる綱川社長)
東芝は、不正会計事件後に事業再編を実施、半導体事業とともに原子力を主力事業と位置付けてきた。だが、その経営戦略の失敗を認めた形となった。このまま、原発事業を推進すると、さらに巨額の損失が生じるリスクがあり、現経営陣の決断を促したといえる。「原発はコスト部門」との評価が一段と明確になってきた。
綱川社長は、これまで電力事業の中に入っていた原発事業を独立させて社長直属の組織に再編し、管理を強化する。「これまで巨額の損失をなかなか把握できなかった反省から」と説明している。
同社は原発事業について、これまで海外を中心に原発の新規受注に力を入れ、2030年度までに海外で45基以上の受注を見込む計画を立てていた。だが、基数を含めて見直す方針を示した。
綱川社長は、「エネルギーの中で原子力事業を最注力領域としたが、今後のあり方を見直す。国内事業は、再稼働やメンテナンス、廃炉を中心に社会的責任を果たす」「海外事業は今後のあり方を見直す」と、「縮原発」を強調した。
今後は、設計や原子炉の製造・納入などに専念し、コストが見通しにくい建設工事から手を引いて「リスク遮断する」(綱川社長)。わかり易く言えば、廃炉ビジネスなどで何とか息をつなごうというわけだ。
半導体事業では、スマートフォンなどに使われる主力のNAND(ナンド)型フラッシュメモリー事業(従業員約9000人)を分社化する。3月下旬の臨時株主総会で株主の承認を得て同月末に実施する予定。
原発事業の見直しで損失の増大を防ぎ、半導体事業の分社化等で2000億円超の利益を見込み、債務超過の回避を目指す方針。だが、資本増強が可能かどうかは不透明な状態が続いている。
綱川社長は自らの進退について「責任を大きく感じている。去就は(人事の諮問機関の)指名委員会に委ねる」 と語った。
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日本外国特派員協会気付。環境金融研究機構(RIEF)藤井良広
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