関西電力、大飯原発1、2号機の廃炉決定。安全性確保コストをまかなえず。出力100万kW級の廃炉は、東電福島第一原発の事故原発以来初めて(RIEF)
2017-12-22 23:16:22

関西電力は22日の臨時取締役会で、福井県の大飯原子力発電所の1、2号機(いずれも出力117.5万kW)を廃炉にすることを決めた。同日、岩根茂樹関電社長は、福井県庁で西川一誠県知事と会談、「原子炉の格納容器が狭く、安全や品質確保を考え、廃止を判断した」と説明した。出力100万kWを超える大型原発の廃炉は、東京電力福島第一原発(福島県)を除くと全国初。
(写真は、大飯原発。右から1、2、3、4号機)
関電は2018年以降に2機を廃炉する具体的な計画をまとめ原子力規制委員会に提出する予定。廃炉作業には約30年の期間を要する見込み。費用は現時点で約1160億円を見込んでいる。岩根社長は知事との面談後、記者団に「あくまで工事後の作業安全や品質の問題で決定した。経済性の試算はしていない」と説明した。
大飯1、2号機は加圧水型炉(PWR)で、事故時に格納容器内の圧力を下げる対策として、1250㌧の巨大なブロック状の氷を備える「アイスコンデンサ方式」を採用している。国内で同方式を採用しているのはここだけ。スペースが必要な同方式を維持しつつ安全対策を強化する余地が乏しいとの判断とみられる。
1号機は東電福島事故前の2010年12月、2号機は福島事故後の2011年12月の定期検査以降、運転が止まったまま。関電の計画では、すでに再稼働した高浜3、4号機(福井県高浜町)を含め、規制委の審査を通過した7基の対策工事に計8300億円が必要。大飯1、2号機はそれよりも対策費が多額になると見込まれることから、最大60年まで運転延長できたとしても採算が合わないと判断したとみられる。
2013年に施行された新規制基準に基づいて、各電力会社が廃炉を決めた原発は、今回の大飯1、2号機を含めて合計8基となった。これまで全国最多の15基の原発が並んでいた「原発銀座」の福井県内の原発は半分近い8基に減ることになる。