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経産省、海洋生分解性プラスチックの国際標準を日本主導でISO化。国内検討委員会立ち上げ。2020年代初めに基準確立を目指す(RIEF)

2019-07-24 23:51:22

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 経済産業省は、海洋プラスチックごみ問題の解決に資する海洋生分解性プラスチックの国際標準を設定するための国内検討委員会を設立した。同委員会で、わが国の実用化技術を中心とした技術評価手法を検討し、早ければ2020年中に、日本主導でISOでの国際標準化の作業提案を行い、2025年までに規格化を実現したいとしている。

 

 (上図は、中央環境審議会循環型社会部会資料から)

 

 6月に大阪で開いたG20サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる、追加的な海洋汚染をゼロに削減することをうたった「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を宣言した。海洋プラスチックゴミの削減のためには、廃棄物管理による3R(リユース、リデュース、リサイクル)の推進とともに、プラスチックに代わる新素材や代替素材の技術開発の促進が期待されている。

 

 経産省が発足させた検討委員会は、国立研究開発法人産業技術総合所と、日本バイオプラスチック協会(JBPA)を中心に運営する。同省が5月に公表した海洋生分解性プラスチックの「開発発・導入普及ロードマップ」を元に、ロードマップを構成する「実用化技術の社会実装」に関する具体的な取組みと位置付けている。

 

 設立された検討会で来年夏までに、標準化に必要なデータを調査・蓄積し、それに基づき、国際標準策定の提案をISO事務局に行う。ISO基準が整備できると、それを受けて、日本バイオプラスチック協会等が識別表示制度を構築する計画だ。

 

 海洋生分解性プラスチック技術のISO化は、同技術に対する信頼性向上、同プラスチックへの需要開拓につながる。同プラスチックは、仮に海洋に流出して、環境中で破砕・小片化しても、生分解によって、マイクロプラスチック化して長期残留する懸念はないとされる。

 

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 現在、国内プラスチック生産量(年間約1000万㌧)のうち、国内で流通している生分解性プラスチックは 2300㌧程度と極めて限られている。しかもその大半は、陸域の土壌やコンポストでの分解が前提で、海洋生分解性を有するプラスチックはわずかな種類しか存在していない。

 

 しかし、国内での処理ができないまま海洋流出するプラスチックは多く、海洋での対応が現実的な課題となっている。最近は国内でも海洋生分解プラスチックの使用例が徐々に増えているほか、欧州市場等でも使用が高まっている。

 

 こうした背景から、同プラスチックの本格的 な開発・導入普及に必要な技術ポテンシャルを備える日本が、同プラスチックのISO基準の制定を主導することは、日本のグローバルな貢献になるとともに、日本の技術の利用にも資するとみられる。

 

 現在、ISOには、プラスチックの海洋中での生分解性の基準として、海水温度が30℃で6カ月で90%もしくは、 27℃で2年間で90%の分解とする尺度がある。しかし、現実の海洋プラ汚染を踏まえると、こうした生分解性では不十分とされている。ISO化での議論では既存尺度の変更も課題になるとみられる。

 https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190722003/20190722003.html