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米飲料大手ペプシコ(PepsiCo)、インドネシアでのパーム油調達で新方針。サプライチェーンの環境・社会面での侵害にも自ら責任をもって取り組み宣言。環境NGOらと共同で方針確立(RIEF)

2020-02-29 18:08:59

PepsiCo221キャプチャ

 

  世界2位の食品・飲料大手ペプシコ(PepsiCo)社は、パーム油調達方針を改定した。同社の調達先には、インドネシア全土でパーム油権益を有するインドフードとその親会社のサリム・グループが含まれており、両社の熱帯雨林・泥炭地での皆伐、従業員への酷使、法律違反等が問題視されてきた。新調達方針では、ペプシコ社が直接取引をするサプライヤーのサプライチェーン全体にも適用され、実質的に同社が責任を負う形をとる。同時に同社は、森林破壊、泥炭地破壊、人権侵害および労働権侵害のないパーム油サプライチェーンを確実にするための取り組み(NDPEコミットメント)を公約した。

 

 今回のペプシコ社の調達方針の改定と、パーム油サプライチェーン改善の公約は、環境NGOのレインフォレストアクションネットワーク(RAN)、インドネシアの労働権団体OPPUK、国際労働権フォーラム(ILRF)との共同作業で策定された。

 

  新調達方針の核となる「NDPEコミットメント」は、「no deforestation, no development on peat, and no exploitation of the rights of indigenous peoples, workers and local communities(森林伐採も、泥炭地開発も、先住民族や労働者、ローカルコミュニティのそれぞれの権利侵害も無いグローバル調達方針)」という宣言だ。

 

森林伐採で栽培されるパーム油
森林伐採で栽培されるパーム油

 

 NDPE宣言に基づき、毎年、進捗レポートと情報開示を伴った総合的な行動計画を実施するほか、同社のサプライチェーンに関する情報の透明性の促進、影響を受ける地域社会や労働者、市民社会、サプライヤー、政府、RSPOを含むステークホルダー等との対話へのエンゲージメント等の行動計画を示している。

 

 新調達方針は、ペプシコ社が直接取引をするパーム油のサプライヤーに対してだけではなく、サプライヤーの企業グループ傘下の独立系供給業者にも適用される。ペプシコはグループとして共同事業者と適正なパーム油生産に基づくビジネスを行うことが期待されるとしている。対象となる共同事業者には、これまで人権侵害等を批判されてきたインドフード社やサリム・グループが含まれる。

 

 ペプシコ社はインドネシアでのスナック食品製造のため、インドネシア最大の食品加工会社のインドフードと合弁企業を保有している。調達方針に基づいて、ペプシコ社はインドフーズ等のサプライヤーが引き起こす環境・社会的問題についても実質的な責任を負うことになる。

 

パーム油農園開発のため、熱帯雨林は皆伐・焼却される
パーム油農園開発のため、熱帯雨林は皆伐・焼却される

 

 RANによると、インドフードとサリム・グループは、インドネシア全土でパーム油権益を握って事業展開している。その事業では労働酷使、法律違反、泥炭地皆伐が確認されているとしている。ただ、環境NGOらのキャンペーン等を受けて、人権規定の改善にも取り組み、インドネシアの重要な森林地帯「ルーセル ・エコシステム」での森林破壊への対応策を取るなどの対応も約束している。

 

 今回のペプシコの新方針はこうしたサプライヤー企業の取り組みを取引先大手として後押しする効果が期待される。RANは「今回のペプシコの方針転換は、過去6年にわたるNGOのパブリックキャンペーンの成果。同業他社間においても先駆的なものであり、『責任あるパーム油』生産が達成される必要性をパーム油業界に示すもの」と評価している。

 

 インドネシアの労働権擁護団体OPPUKの専務理事ヘルウィン・ナスシオン氏(Herwin Nasution)は「世界的な気候危機が現実化し、インドネシアのような島国は最初に最悪の影響を受けている。こうした中で『紛争パーム油』が、森林破壊と壊滅的な気候危機をもたらし、インドネシア中のプランテーションで働くパーム油労働者にも悪影響を及ぼしている。われわれは今回のペプシコ社の公約を称賛すると同時に、現場で実際の行動に移されるよう見守る必要がある」と強調している。

 

https://www.pepsico.com/docs/album/esg-topics-policies/global-policy-for-sustainable-palm-oil.pdf

http://japan.ran.org/?p=1561