HOME5. 政策関連 |福島、山梨両県、グリーン水素の生産・活用で協力協定。山梨で開発した水素製造装置「P2G」を福島の新設半導体ガラス工場に導入。2025年度稼働、地域主導で「グリーン水素」推進(RIEF) |

福島、山梨両県、グリーン水素の生産・活用で協力協定。山梨で開発した水素製造装置「P2G」を福島の新設半導体ガラス工場に導入。2025年度稼働、地域主導で「グリーン水素」推進(RIEF)

2022-12-02 23:14:32

yamanashi0011キャプチャ

 

 福島、山梨の両県は2日、再生可能エネルギーの太陽光発電の電力で水素を生産する「グリーン水素」の生産拠点を福島県田村市に建設することで合意、同日、両県知事が協定書に調印した。山梨県が東レ等と開発した水素製造装置「P2G(パワー・ツー・ガス)システム」を、福島県内の工場団地に新設する半導体用ガラス工場敷地内に設置し、同工場に電力を供給する。設備は2025年度に稼働予定。グリーン水素普及の官民協力事例となる。

 

 日本経済新聞等が報じた。山梨県は、国のグリーンイノベーション基金事業としてNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受け、2021年に、東レ、日立造船、シーメンス・エナジー等の企業と連携して、コンソーシアムを結成。大規模P2G(パワー・ツー・ガス)システムを山梨県甲府市にある米倉山電力貯蔵技術研究サイトに構築し、実証化を進めている。https://rief-jp.org/ct5/124325

 

 同県のP2Gシステムは、シーメンスが開発した固体高分子膜(PEM)型水電解装置に、東レ開発の「炭化水素系電解質膜」を供給した国内最大級10MWクラスの電解装置を完成させている。生産したグリーン水素はすでに、県内の企業等に提供している。https://rief-jp.org/ct10/117727

 

 今回、半導体関連メーカーのヒメジ理化(兵庫県姫路市)が、福島県田村市の工業団地に69億円を投じて新設する半導体製造用ガラス工場の敷地内に、太陽光発電設備を設けるとともに、東レ等が山梨県で開発した10MW規模のP2G設備を設置する。最大で年間700万㎥の水素生産を目指す。

 

 2日の両県による協定書の調印式には、ヒメジ理化と水素の配給事業を手掛ける巴商会(東京)も出席した。田村市に設置するグリーン水素製造装置の規模は、現在、福島県浪江町にある国内最大の水素生産拠点と同じクラスとなる。

 

協定を調印した長崎山梨県知事㊧と福島県知事㊨
協定を調印した長崎幸太郎・山梨県知事㊧と内堀雅雄・福島県知事㊨

 

 ヒメジ理化は、グリーン水素と副生成物の酸素の両方を半導体用ガラス製造の熱源として活用する。またグリーン水素については、同県会津若松市などにある同社の別工場や、その他の周辺地域でも活用する方針。巴商会は水素を輸送する新型トレーラーも同時に開発する。

 

 グリーンーン水素関連部分の総事業費は約65億円を見込む。NEDOが3分の2を補助する。協定を結んだ山梨県の長崎幸太郎知事と福島県の内堀雅雄知事は、「水素事業でトップを走る両県が連携して日本のGXに貢献したい」(長崎氏)、「両県が刺激し合いながら水素関連産業を集積させ育てていきたい」(内堀氏)などと述べた。両県は今後、グリーン水素普及のために人材育成等でも協力していく。

 

 国のエネルギー政策は依然、石炭火力等の化石燃料エネルギー中心で、水素製造も天然ガスからの「ブルー水素」輸入を政策の柱にするなど、エネルギー転換が中途半端な状態となっているが、両県は地域主導でグリーン水素の定着・普及を推進していくことになりそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC0281G0S2A201C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA

https://news.yahoo.co.jp/articles/277cdca84a367e395dab1a08e4edc3d58e9292ea