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西村経産相、「原子力はGX実現のエンジン」と強調。再生可能エネルギーには触れず。原子力産業協会で所見。同協会の今井会長は「GX法は原子力の価値を明確にした」と歓迎表明(RIEF)

2023-06-19 17:09:38

nishimuraキャプチャ

 

   西村康稔経済産業相は、このほど開いた原子力産業協会の年次総会に出席し、日本政府が推進するグリーン・トランスフォーメーション政策における原子力の位置づけとして、「原子力はエネルギー安定供給とGX実現の両立を進めていくエンジン」と明言した。GX政策に関連すると産業界等で期待される再生可能エネルギーについては特に言及せず、GXにおいて原発重視を優先する考えを示したといえる。

 

 西村氏は、同協会が16日に開いた2023年度定時社員総会に来賓として出席し、所見を述べた。同協会は、原子力基本法が施行された1956年から続く原発関連企業等で組織する産業団体。

 

 西村氏の指摘を受ける形で、同協会の今井敬会長(元新日本製鉄社長、経団連元会長)は「原子力利用の価値を明確にした『GX脱炭素電源法案』が、今国会で成立したことは大変意義深い。産業界としては、本法の趣旨に沿って、再稼働の着実な進展をはじめ、既設炉の徹底活用や、将来の新増設・リプレースなど、原子力の持続的、かつ最大限の活用を実現していく必要がある」とGX政策として、原発の新設も視野に置いた姿勢を強調した。

 

原子力産業協会会長を退任した今井敬氏(92歳)
原子力産業協会会長を退任した今井敬氏(92歳)

 

 さらに今井氏は、「関係当局(経産省等)には、事業環境の整備をはじめ、行政面での必要なご対応を引き続きお願いしたい」として、原発稼働の拡大と核燃料廃棄物の最終処分場の確保に力を入れるよう要請した。

 

 同氏は、日本の原子力を最大限活用していく上で、特に重要な2点として、①福島の復興と、福島第一原子力発電所の廃炉推進②六ヶ所再処理工場の早期竣工といった核燃料サイクルの推進と、高レベル放射性廃棄物処分の推進ーーをあげた。

 

 今井氏は、2006年から17年間にわたり同協会の会長に在任したが、今回で退任し、同じ新日鉄出身の三村明夫氏(日本商工会議所名誉会頭)が新会長に就任した。「鉄鋼ムラ」と「原子力ムラ」、「経団連ムラ」は一体で「変わらない」ということを改めて示す形だ。今井氏からバトンを受けた三村氏は、「原子力のあるべき地位復興に向け、最大限努力する」と決意表明をした。

https://www.jaif.or.jp/journal/japan/18335.html

https://www.jaif.or.jp/mes/chairman/chairman_address_2023/