HOME10.電力・エネルギー |兵庫県。民有地での山林開発の太陽光発電事業について、許可制導入へ。山梨、奈良両県に次ぐ措置。再エネ促進と防災、生態系維持をバランス化。罰金も現行の10倍増に強化(RIEF) |

兵庫県。民有地での山林開発の太陽光発電事業について、許可制導入へ。山梨、奈良両県に次ぐ措置。再エネ促進と防災、生態系維持をバランス化。罰金も現行の10倍増に強化(RIEF)

2023-12-13 16:28:43

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写真は、2018年7月の豪雨でパネルが崩落した姫路市内の太陽光発電施設の現場)

 

 兵庫県の斎藤元彦知事は12日、太陽光パネルなどの設置について、防災面、自然生態系への影響等に配慮するため、現行の太陽光条例を改正し、民有地を含めて許可制とする条例改正案を公表した。同県の現行の条例は届け出制だが、事業面積が5000㎡以上の太陽光発電施設のうちで、民有林で3000㎡超の施設計画の場合は、許可制にするほか、事前の手続きも強化する。民有地での開発に許可制を導入するのは、山梨、奈良両県に次ぎ3件目。命令に従わない場合の罰則も、これまでより10倍増の50万円に引き上げる。再エネ普及と防災、自然保全のバランスを優先する。

 

 斎藤知事は、条例改正案を2024年の2月議会に提案し、同年10月1日の施行を予定していると述べた。太陽光発電施設については、脱炭素化へのエネルギー転換で拡大が求められる一方で、森林等を開発する大規模開発の場合、パネルの崩落等による防災面の課題のほか、森林の大量伐採による生態系への影響等も懸念されている。

 

 同県では、2017年に条例を施行し、これまで約300件の同発電施設の事業計画書の届出があった。届け出件数は18年の70件をピークとして22年は23件と減少傾向にある。これまでの施設の9割以上は、設置面での問題はなく、適正に稼働しているとしている。一方で、 条例施行後6年が過ぎ、台風等の自然災害時のパネルの崩落事故への不安が地域で起きているほか、森林等の保全を求める生物多様性問題、パネルの廃棄問題の顕在化等から、条例の改正強化の必要性が高まっている。

 

 そこで今回の条例改正案では、防災面の強化として、民有地を含めて山林での設置に際して、届け出制から許可制に切り替えるほか、事前手続についても森林法、盛土規制法に基づき義務化する。同県の場合、民有地は全体の63%に相当する。生態系対応では、「自然環境との調和」の項目を条例目的に明示し、事前手続として環境アセスメントの義務化を求める。

 

 パネルの廃棄問題は、2030年代後半に顕在化するとみられているため、事業者の責務として「廃止後の適正な措置」を求める条文を追加する。さらに、こうした措置の強化を担保するため、現行条例では届け出違反に対して5万円の罰金としているが、これを許可制違反に対しては10倍の50万円に引き上げるほか、施設への立ち入り権限も加え、指導権限と罰則を強化する。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/documents/g_kaiken20231212_03_01.pdf