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環境NGOが、参院選の各政党の気候変動・エネルギー関連政策を、選挙公約(マニュフェスト等)から評価分析(RIEF)

2019-07-08 22:19:54

KIKO3キャプチャ

 

  環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は、21日が投票日の第25回参議院議員選挙に先立ち、各政党の選挙公約(マニフェスト・政策)を元に、各党の気候変動・エネルギー関連の政策を評価分析、公表した。

 

 KIKOは、パリ協定を遵守するためには、脱炭素社会に向けて野心的な目標を掲げるとともに、省エネルギー強化・再生可能エネルギー拡大への政策転換が必要である、と指摘。世界の水準にあわせて2030年に石炭火力をフェーズアウトすることが1.5℃目標で唯一残された近道である、としている。

 

 そこで、各党のマニフェスト(政党公約)から、①パリ協定の遵守と脱炭素社会の実現②野心的な温室効果ガス削減目標の設定③脱石炭火力発電の推進④再生可能エネルギーの導入と野心的目標の設定⑤脱原発の実現ーーの5つの点からKIKOが総合的に判断し、総合得点を比較した。

 

各政党のエネルギー政策
各政党のパリ協定の順守と、温室効果ガス政策

 

 ①②では、与党の自由民主党と公明党が、政府の2030年度削減目標(2013年度比26%減)と、2050年80%削減を掲げている。これに対して野党は、立憲民主党と日本共産党が2050年CO2排出ゼロ、国民民主党が2030年度30%削減(90年比)、日本維新の会は数値目標には言及せず「脱炭素社会の推進」、社会民主党と「れいわ新撰組」は言及せず。

 

 ③では、自民党と公明とが「石炭火力発電所について環境アセスメントを厳格に運用」、自民はさらに、CCUS/カーボンリサイクルの研究・実用化、基幹的な化石燃料、鉱物資源を安定的かつ安価に確保するため、政策支援機関等を通じたリスクマネーの供給等を付記している。

 

 立憲民主は2030年までに石炭火力全廃、国民民主は、「一定効率以上の発電所の建設以外は認めない」。れいわは「エネルギーの主力は火力」。共産、維新、社民はいずれも「言及無し」。

 

原発政策について
原発政策について

 

 ⑤の「脱原発」について、自民党は、原子力依存度を可能な限り低減するしつつ、新規制基準に適合する原発は再稼働、原子力は重要なベースロード電源、との原発堅持の姿勢を維持。公明党は、原発依存度を着実に低減し、原発の新設は認めない、としている。

 

 立憲は、「原発再稼働を認めず、原発ゼロ基本法の早期成立を目指す」。国民民主は、「2030年代を目標としてできるだけ早期に原発ゼロ社会を目指す」。共産も「原発ゼロ基本法を目指す」。

 

 維新は「脱原発依存体制の構築」。社民は「脱原発」で「持続可能な地域社会をつくります」。れいわは「原発即時禁止・被爆させない」

 

KIKO1キャプチャ

 

 KIKOが評価した総合点では、現行政策を維持する与党とエネルギーシフトに向かう政策を打ち出す野党とでは大きく差が開いた。政党別では、具体的目標値を掲げた立憲民主党が19点と最も高く、次いで国民民主党(15点)、日本共産党(14点)、社会民主党(10点)となっている。

 

 KIKOは(注)として、「この分析は気候変動対策・政策に関して評価するものであり、特定の政党・候補者を応援したり支持したりするものではない」と限定している。

https://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2019/07/press-release-25th-house-of-councilors-election-2.pdf