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英国政府。ISSBのサステナビリティ開示基準の英国への導入のための独立委員会設置へ。議長以下、メンバーを公募。「独立性」担保のため、利害関係者は排除(RIEF)

2023-06-13 18:40:09

FRC001キャプチャ

 

 英国の今年2月に改組発足した「ビジネス貿易省(DBT)」と独立委員会の英国財務報告評議会(FRC)は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のサステナビリティ開示基準を英国に導入するうえで専門家の勧告を得るため、新たに立ち上げる委員会の議長とメンバーの公募を開始した。日本の役所の審議会なら、役所が水面下で委員を選び、指名する例がほとんどだが、今回の英国の委員会の場合、議長以下を公募するとともに、役所の関係者や他の審議会、監査法人等の関係者も排除する等の条件を付して厳格な「独立性」の担保を目指している。

 

 (写真は、英FRCが本拠を置くロンドンの建物)

 

 設立する委員会は、ISSB基準を英国のサステナビリティ開示基準に取り入れるための勧告を、DBTやFRCに行う「技術諮問委員会(TAC)」。FRCは、英国のコーポレートガバナンスコードやスチュワードシップコードを設定する機関で、同機関自体、政府や企業等からの独立性が重視されている。

 

 今回のTAC設立を公募とするのは、サステナビリティ情報開示をめぐって、開示を求められる企業、そうした情報を活用する投資家、情報を評価する監査法人、政府機関等の各ステークホルダーの間で利害錯綜が予想されることから、独立性を重視する考えとみられる。

 

 特に同委員会を牽引する議長は、ISSBの基準と英国の基準、さらにグローバルな展開を踏まえたサステナビリティ情報開示のフレームワークを構築する役割を担うだけに、議長候補者は「強いリーダーシップ、サステナビリティ情報開示についての理解、ステークホルダーとの協調能力」を「公募要件」に掲げている。(そんな人材は、日本の場合はいないと思うけど)

 

 TACメンバーの公募対象分野としては、学界、会計・監査・保証供給者、エコノミスト、投資家やサステナビリティレポートの利用者、サステナビリティレポートの作成者(企業)、サステナビリティ情報の分析者、FRC、UKEB(UK Endorsement Board:英国承認理事会)等をあげている。

 

 その一方で議長については、FRCの規制対象の会計事務所や監査法人、アクチャリー、英政府の役人、FRC、FCA、イングランド銀行、過去3年間に企業監査を務めた人、監査法人関係者等を、全て「除外」としている。「専門家」と「利害関係者」の峻別を意識しているようだ。

 

 日本の役所の審議会や研究会等では、関係業界の代表者や、いくつもの審議会ポストを兼務する「専門外」の学者センセイらが多い。日本では「公募」にした場合、本当の専門家が集まると、役所の方針通りの結論に持っていけないため、「気心の知れた『専門家』」に声がけし、「独立性」の乏しい委員会を組織する傾向にあるようだ。

 

 英国のTACの任期は3年間。再任あり。年収は78日間の実働で4万ポンド(約701万円)。応募希望者は6月23日までに申請書を提出、その後にインタビューがあるという。どなたかご応募されてはどうか。

https://www.frc.org.uk/news/june-2023/applications-open-for-chair-and-members-of-uk-sust

https://www.frc.org.uk/about-the-frc/structure-of-the-frc/non-executive-appointments