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「グローバルグリーンファイナンス・インデックス(GGFI)」最新版。1位ロンドン、2位ニューヨーク、東京は34位と前回に引き続き連続ランク低下。「外苑再開発問題」も影響か(RIEF)

2023-10-26 23:18:45

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 世界の金融センターのグリーン度を評価する「グローバル・グリーンファイナンス・インデックス(GGFI)」の最新版が公表された。1位は前回(今年4月)と同様、英ロンドンで、2位は米ニューヨークと変わらず。前回3位だったストックホルム(スウェーデン)が6位に後退、代わってジュネーブ(スイス)が1つアップして3位に入った。9位にシンガポールが入り、アジア勢として初のトップ10入りした。東京は外苑再開発問題等の影響もあり、前回の7ランクダウンに続いて今回も3ランクダウンの34位と、冴えない位置にとどまっている。

 

 同調査は、英シンクタンクZ/Yen Groupが2018年から半年ごとに行っている。対象とした各国の金融センターは94都市。評価は第一段階として、各国の金融センターの専門家によるオンライン質問での格付評価(10段階)を踏まえ、次いで、国連、世界銀行、OECD等を含む第三者機関が公表する150の評価要因に基づいた定量的な評価を加味して算出する手法だ。https://rief-jp.org/ct6/134760?ctid=

 

グリーンファイナンスインデックス上位20ランキング(東京は34位で枠外)
グリーンファイナンスインデックス上位20ランキング(東京は34位で枠外)

 

 同シンクタンクは、国際金融センターとしての「Global Financial Centres Index(GFCI) 」も実施している。9月に公表した最新のGFCIランキングでは1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位シンガポールの順。東京は20位。「グリーンファイナンス」になると、サステナブルファイナンスの分野で一日の長があるロンドンがニューヨークを抑えてトップとなり、欧州勢や豪州、カナダ等の都市も上位にランクされた。https://rief-jp.org/ct6/139288?ctid=69

 

 東京は逆に、一般のGFCI評価でもアジア勢の中で「中くらい」の存在感だが、グリーン性のGGFIではさらに、大きくランクを下げている。金融市場をグリーン化するための明確な方針が日本政府にも東京都にもないほか、政府が提唱する「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」はグリーン性よりも、既存の石炭火力発電等の化石燃料エネルギーを維持する側面が強いとして「政府によるグリーンウォッシュ」との批判も受けている。

 

 東京都自体も、外苑前再開発を「暗黙裡」に推進する立場をとっていることから、市場関係者らからも「アンチ・グリーン」とみなされているようだ。東京より1つ上に、11月末からの国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の開催都市、ドバイがランクされている。https://rief-jp.org/ct12/138756?ctid=

 

 GGFIのランキングでは、東京よりも上位にランクされたアジア・太平洋州勢は9都市もある。9位ランクのシンガポールのほか、韓国のソウル(18位)、プサン(28位)、中国勢は上海(20位)、深圳(24位)、北京(27位)、豪州のシドニー(14位)、メルボルン(16位)、ニュージーランドのウェリントン(31位)だ。グリーンファイナンス、サステナブルファイナンスでは「一段と魅力の乏しい日本・東京」という構図は当分続きそうだ。

 

 全体で、前回から大きくランクを下げたのが、18ランク減のモスクワ、リヤド(サウジアラビア)、リヒテンシュタインの3都市。モスクワはウクライナ侵攻による軍事的行動、ザポリージャ原発占拠等の行動が、嫌われたと思われる。リヤドは、グリーン投資等にも力を入れているが、基本的に石油・ガス等の化石燃料資源を供給し続けている点で、グリーンから遠い、との評価のようだ。リヒテンシュタインはタックスヘイブンであり、マネーロンダリング対応等からグリーン性を疑われていると思われる。

The Global Green Finance Index – Long Finance

https://www.longfinance.net/media/documents/GGFI_12_Report_2023.10.26_v1.pdf