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米Moody's 物理リスク分析の米データープロバイダー「Four Twenty Seven(FTS)」を買収。4月のVigeo Eirisに次ぐESG評価力強化戦略の一環(RIEF)

2019-07-25 01:16:32

FTSキャプチャ

 

 米格付機関Moody’sは気候変動による物理リスクのデータープロバイダーとして知られる「Four Twenty Seven」社(カリフォルニア州バークレー)の過半数の株を取得、同社を買収した。買収額は公表されていない。Moody’sがESG専門企業を買収するのは、4月に英仏系のESG評価会社Vigeo-Eirisを買収したことに続く動き。

 

 (写真は、物理リスク評価力を強調するFTSのサイトより)


 Moody’sが買収したFour Twenty Seven(FTS)は、2012年に現CEOのEmilie Mazzacurati氏が設立した。ハリケーン・サンディが米東部地方を襲った際、気候変動への備えが大銀行でも十分にない現実に直面したことを踏まえ、気候変動への適応(Adaptation)やレジリエンス(強靭性)投資を促すことをビジネスモデルとしている。

 

Moody's34キャプチャ

 

 評価対象の物理リスクには、ハリケーン等のほか、熱波、水ストレス、集中豪雨、海面上昇なども含まれる。対象企業には、2000社以上の米上場企業の物理リスクのスコアリングとポートフォリオ分析をはじめ、約100万のグローバルな企業施設、320の不動産投資信託(RIET)、3000の米地方郡、196の各国が含まれ、それぞれの評価データを保有する。

 

 Moody’sのアセスメントのグローバル責任者である Myriam Durand氏は「FTSは、気候変動エクスポージャーの定量化や利用可能なリスク基準に基づく強固なプラットフォームを築き上げてきた。それらは企業が抱える気候リスクやレジリエンスな手段を、わかり易く、伝えるうえで重要だ」と買収の意義を強調している。

 

FTSのCEO、Mieさん
FTSのCEO、Emilie Mazzacrattiさん

 

 物理リスクを中心としたFTSのESGスコアリングデータや指標は、資産保有機関、資産運用機関、銀行、企業、政府機関等の多様な機関が活用している。これらの機関は、FTSのデータを保有ポートフォリオにおいて、投資活動に伴う潜在的な気候変動リスクを理解し、評価するために活用している。

 

 FTSはMoody’sの傘下に入った後も、これまで通りのブランドで事業を継続する。Moody’s グループではMoody’s Investors Serviceの子会社となる。

 

FTS2キャプチャ

 

 4月のVigeo Eirisに次ぐFTSの買収で、Moody’sがESG分野での分析力を強化していることが明確になった。ESGビジネスの拡大とともに、本来の信用格付業務へのESG要因の組み込みによって、格付評価への信頼性をより強化する狙いもあるようだ。

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